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  1. 秋田県議会 2005-02-01
    02月23日-04号


    取得元: 秋田県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-15
    平成17年  2月定例会 本会議●平成十七年秋田県議会二月定例会会議録 第四号---------------------------------------議事日程第四号  平成十七年二月二十三日(水曜日)  午前十時三十分開議第一、一般質問---------------------------------------本日の会議に付した案件    議事日程に同じ--------------------------------------- △午前十時三十分開議 本日の出席議員    四十七名    一番  淡路定明     二番  田口 聡    三番  山内梅良     四番  三浦英一    五番  こだま祥子    六番  渡部英治    七番  門脇光浩     八番  平山晴彦    九番  柴田正敏     十番  鈴木洋一   十一番  加成義臣    十二番  渋谷正敏   十三番  川口 一    十四番  瀬田川栄一   十五番  中田 潤    十六番  杉江宗祐   十七番  京野公子    十八番  大関 衛   十九番  小田美恵子   二十番  武田英文  二十一番  宮腰 誠   二十二番  小田嶋伝一  二十三番  木村友勝   二十四番  加藤義康  二十五番  安藤 豊   二十六番  土谷勝悦  二十七番  金谷信栄   二十八番  鶴田有司  二十九番  冨樫博之    三十番  原 盛一  三十一番  石田 寛   三十二番  高松和夫  三十三番  菅原 昇   三十四番  菅原龍典  三十五番  穂積 志   三十六番  大野忠右エ門  三十八番  中泉松之助  三十九番  津谷永光   四十番  安杖正義   四十一番  佐々木長秀  四十二番  佐藤次男   四十三番  工藤嘉左衛門  四十四番  長谷部 誠  四十五番  北林康司  四十六番  藤原俊久   四十七番  辻 久男  四十八番  北林照助---------------------------------------   出席議員    四十七名    一番  淡路定明     二番  田口 聡    三番  山内梅良     四番  三浦英一    五番  こだま祥子    六番  渡部英治    七番  門脇光浩     八番  平山晴彦    九番  柴田正敏     十番  鈴木洋一   十一番  加成義臣    十二番  渋谷正敏   十三番  川口 一    十四番  瀬田川栄一   十五番  中田 潤    十六番  杉江宗祐   十七番  京野公子    十八番  大関 衛   十九番  小田美恵子   二十番  武田英文  二十一番  宮腰 誠   二十二番  小田嶋伝一  二十三番  木村友勝   二十四番  加藤義康  二十五番  安藤 豊   二十六番  土谷勝悦  二十七番  金谷信栄   二十八番  鶴田有司  二十九番  冨樫博之    三十番  原 盛一  三十一番  石田 寛   三十二番  高松和夫  三十三番  菅原 昇   三十四番  菅原龍典  三十五番  穂積 志   三十六番  大野忠右エ門  三十八番  中泉松之助  三十九番  津谷永光   四十番  安杖正義   四十一番  佐々木長秀  四十二番  佐藤次男   四十三番  工藤嘉左衛門  四十四番  長谷部 誠  四十五番  北林康司  四十六番  藤原俊久   四十七番  辻 久男  四十八番  北林照助---------------------------------------          地方自治法第百二十一条による出席者               知事             寺田典城               副知事            西村哲男               出納長            品田 稔               理事             川辺征夫               総務部長           小林憲一               企画振興部長         渡部文靖               健康福祉部長         京屋 太               生活環境文化部長       佐藤憲之助               農林水産部長         竹村達三               産業経済労働部長       加藤清美               建設交通部長         小玉良悦               出納局長           藤原 宥               総務部次長知事公室長    佐々木松彦               財政課長           前 健一               公営企業管理者        根津谷禮蔵               教育委員会委員長職務代理者  米田愛治               教育長            小野寺 清               選挙管理委員会委員長職務代理者                              小野康雄               人事委員会委員長職務代理者  鈴木迪也               公安委員会委員長職務代行者  伊藤辰郎               警察本部長          石川正一郎               労働委員会会長職務代行者   小西尚志               代表監査委員         山田昭郎--------------------------------------- ○議長(鈴木洋一君) これより本日の会議を開きます。 日程第一、一般質問を行います。二十七番金谷信栄君の一般質問を許可することにして御異議ありませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり] ○議長(鈴木洋一君) 御異議ないものと認めます。二十七番金谷君の発言を許します。   [二十七番(金谷信栄君)登壇](拍手) ◆二十七番(金谷信栄君) 自民党の金谷信栄でございます。 このたびは、会派の御配慮と議員各位の御理解を賜り、一般質問の機会を与えていただきましたことに心から感謝申し上げます。 最初に、秋田空港ターミナルビル株式会社をめぐる諸問題について伺います。 まず初めに、組織についてでありますが、平成十六年五月二十日の決算取締役会において、平成十五年度決算と平成十六年度予算が承認されております。この時点では、定款にも予算においても会社の組織として企画部なるセクションは存在しないにもかかわらず、この役員会直後に、役員会に諮らないまま、会長である知事と山本前社長は、当時の総務部長に対して企画部への異動を命じているわけであります。なぜ会長と社長の二人だけで、会社の組織に関する重要事項を決定できるのですか。また、この人事異動は、商法に基づく内規、もしくは定款上規定されている取締役会への報告義務違反に当たるのではないでしょうか。平成十六年六月一日には、山本前社長は会社の組織を改編し、人事異動までされましたが、改編によって廃止や縮小された部署はそれまでどんな業務を処理していたのでしょうか。また、新設された企画部の業務は何ですか。現在の定款や内規には、企画部という組織が明確に位置づけられているのですか。加えて企画部には、その業務に必要な予算上の措置がなされているのですか、お尋ねいたします。 次に、会社への人事に関して伺います。 平成十六年六月一日付で、社団法人秋田建設技術センターから、土木技術を専門とする職員が一名会社に派遣されております。ちなみに、このセンターの理事長は、前建設交通部長であります。会社がこのセンター職員の派遣を依頼した理由、目的は何だったのでしょうか。 五月二十四日付の会社からの職員派遣要請書の写しが、私どもの手元にあります。この文書によりますと、派遣要請の目的は、NEDO工事及び立体駐車場工事の業者との協議、調整となっております。しかしながら、NEDO工事立体駐車場は、工事内容を見ると、それぞれ空調工事と建築工事であり、土木の技術者がするような仕事ではないし、つまりこの職員が専門とする分野とは無関係であると考えられますが、いかがですか。 NEDO工事は平成十六年六月九日に入札され、また、入札方法も、NEDO側と既に協議済みであります。六月一日以降は技術者の派遣を求める必要性が何もない状況であり、しかも、建築工事にもかかわらず、専門外の土木技術職員の派遣であります。それでは、派遣要請の本当の目的は何だったのでしょうか。 また、NEDO工事についていま一つ質問ですが、この工事はジョイントベンチャーで実施されておりますが、このJV方式とされた理由は何ですか。 次に、フライトインジケーター工事の契約について伺います。 契約締結は社長決裁されていると聞きますが、そうであれば、どうして社員が決裁権限規定に違反して勝手に契約したことにされているのか伺います。 また、山本前社長の指示により、国内業者から見積もりを取り寄せておりますが、国内業者はおよそ倍額の提示額であり、韓国業者の七千万円の契約がどうして高額な契約とされているのか伺います。 その後、追加工事の支払いをめぐって業者ともめているとされておりますが、社内では業者と前社長との間で工事内容と代金の支払いをめぐり協議が調い、契約伺いも決裁されたと聞いておりますが、契約は有効に成立しているのか伺います。 次に外部監査についてでありますが、昨年十月に外部監査が行われる一月前、平成十四年度、十五年度分の帳簿、経理データがそっくりどこかに行ってしまい、社内の業務、特に九月決算に大変支障を来している状況だったにもかかわらず、外部監査が始まる時点、すなわち十月十八日ごろには、どこからかこの帳簿、経理データが出てきたと聞いています。前社長は認めておられますが、このことは事実だったのでしょうか。 また、それが事実だとすれば、およそ一カ月の間、会社の経理はどのようにして執行されたのでしょうか。九月期の中間決算はどのようにして決裁されたのでしょうか。あわせてお伺いいたします。 このような択況の中で外部監査を実施されたのですか。外部監査人には、このことをお伝えしましたか。さらに、経理データを持ち出したり、操作できる人は、会社の中に何人いるのですか、伺います。 また、この外部監査の結果をもって刑事告訴の手続中という会長である知事の発言などもあります。現時点で、会社として刑事告訴はされましたか。また、県庁の幹部は、一方的に「司直にゆだねられている」と発言を繰り返しておりますが、告発または告訴の手続をされたのか伺います。 ところで、山本前社長は、平成十五年八月二十一日、社員二人を伴い、当時の建設交通部長及び建設交通政策課長と私的な飲食をしていますが、この会合の目的は何ですか。この会食会場で、前建設交通部長は、立体駐車場の話を持ちかけ、「いい業者を知っている」と業者選定にかかわる話を持ち出したといいますが、この時点で業者選定までいっていたのですか。 そればかりか、最もひどいことは、この会食の参加者のだれかが、随行した社員の自宅に電話をかけて「御主人が倒れた」と、うその理由で家族を呼び出していることであります。まるで今はやりのオレオレ詐欺、振り込め詐欺の実地版ですよ。呼び出された家族の驚き、だれが流したのか悪者扱いのうわさとともに、御家族の御心痛を思うと、同情とともに、さぞ無念のことと、その心中をお察しいたします。なぜ家族まで呼び出し、巻き込む必要があったのか、伺います。 また、一連の不祥事を見過ごしてきた取締役に、果たして今後の会社のあり方を決める監査報告対策改善委員会のメンバーとなる資格があるとお考えでしょうか。 さらに、データのあるなしにかかわらず監査した会計士も委員会のメンバーと聞き及ぶにつけ、この監査報告対策改善委員会なるものは、その信頼性に大きな疑義があると思いますが、いかがお考えかお伺いいたします。 そして、また、山本前社長が辞職したと思ったら、今度は、知事が会長のままで、社長には出納長、専務取締役には県から派遣された職員と、県関係者が主要な役員に就任しました。これは知事の提案とお聞きしておりますが、本当でしょうか。 正社員が十三名で取締役が十四名もいる会社とは、三セクとはいえ、一般的な企業では考えられない組織体となりました。このような身動きのとれない状況で、不祥事が再発しないと言い切れるものかどうかお伺いいたします。 知事は、すべての不祥事の原因を、組織体制が悪い、社員が悪いと片づけておるようですが、知事、今の段階でも本当にそうだと思っておりますか、伺います。 知事、知事の秘書が、あなたの命令を受けて仕事をしていたら、それが原因で処分を受けたでは立つ瀬がないでしょう。一生命働いている職員をどこまで巻き添えにするつもりなのですか。 今回の一連の不祥事では、会長が誘ったのか社長側が誘ったのか判然としないものが数多くありますが、その中で一つだけ真実がわかりました。それは、山本前社長と寺田知事、秘書課出身の一部県職員との飲食やゴルフは、そのほとんどが私的な遊興や飲食であると言わざるを得ないということであります。また、知事や県庁の職員は、公務員としての自覚に欠けるのみならず、本来の株主は県民であるにもかかわらず、大株主として強大な職務権限を発揮し、社長や社員に圧力をかけて私的に遊興し飲食したものであると断ぜざるを得ないのであります。 この上は、会社から知事初め派遣された県職員を含めすべて引き揚げること、そして、株式を処分し、資金を県民のために使用すること以外に道はないと思いますが、どのようにお考えであるかお伺いいたします。 このままだと、次はもっと悪くなり、職員の犠牲者がもっと多くなりますよ。昔の人は、いいことを言っていました。「病は治るが癖は直らない」と。 次に、若年の雇用対策についてお伺いいたします。 東北経済産業局が発表した二〇〇三年の工業統計速報によると、四人以上の従業員を雇用する事業所数が、二万六百余りと五年ぶりに増加するとともに、製造品出荷額についても三年ぶりに増加に転じたとのことであります。事業所数の増加率を県別で見ると、青森県が最も高く、これに岩手、福島と続き、一方、減少した県は、宮城、山形、秋田の順となっており、秋田県が最低であります。 福島県では、富士通が会津若松市に一千億円規模の投資をして半導体の製造工場の建設を始めており、また、日産自動車もいわき工場で百億円規模の計画があるようです。岩手県では、新たにトヨタグループの関東自動車工業が生産力の増強を進めており、協力工場を含めると四千億以上の効果があると試算されております。また、宮城県では、二十八年ぶりにプロ球団のフランチャイズとなり、この経済波及効果は二百億円以上とも言われ、ことしから大いに期待されています。 このように、東北各県では官民一体となって地場企業を育てる気運が高まっているのですが、我が秋田県では、川反とゴルフ、優雅な海外旅行では、先代の知事が貯金したものもすべてなくなるのもむべなるかなです。さらに悲しいことは、幹部がわかっていながら事なかれ主義に陥り、改革についてはこれまでどおりのやり方に固執し、組織全体のおごりと危機感のなさにどっぷりつかっていることであります。 前にも、「TDK秋田工場が縮小か閉鎖されることになりそうなので、早く手を打たないと困るよ」と進言しましたが、そのときの県当局は笑って、「いかに金谷先生の話でもTDKは絶対にそういうことはありません」との回答でした。その後も、再三にわたり商工労働委員会でも話しましたが、「あり得ません。聞いてはみますが」。そして、三カ月後に工場縮小の記事が新聞に載り、初めて仁賀保の工場に行ったそうですが、そのときに私は、「仁賀保の工場では知らなかったでしょう。なぜ本社に行かなかったのですか。もう手おくれなので見直しはないでしょう」と部長に話したこともありました。 大王製紙問題にしても、やはり商工労働委員のときに、「東京の専門の弁護士を五人以上頼みなさい。そうでなければ負けますよ」と。このときも笑われました。「負ける裁判ではないので、秋田と中央から一人ずつ、二名ぐらいで十分に勝てますよ」と。その後も再三話し、知事にも「弁護士を充実すべき」と、そして「初回で負けたらこの勝負は終わりだ」と申し上げましたが、聞く耳がなく、勝てると思ったのでしょう。勝てるはずの裁判が、その甘さと世間知らずゆえに敗北という結果になったものと言わざるを得ません。 同じことが国際教養大学でも言えます。実験で成功したそうですが、あと二、三年で、日本語で話すと英語、あるいはフランス語になり、フランス語で話すと日本語で、通訳の要らない携帯が発売されるでしょう。そうなれば、語学ができることが意味を持たない時代になり、少子化の進展と合わせ、大学倒産速度が加速する大きな渦の中に国際教養大学も巻き込まれ、維持するための県費の持ち出しも増大するものと懸念されます。 日本の景気はよくなっていると申しても、現在国内で約四百二十万人と言われるフリーターと、海外からの安い労働力を雇用することで利益を上げており、長く続くものではありません。我が秋田県は、少子・高齢化が急速に進んでいるのに進学や就職など進路選択のプロセスで就職先が見つからず、そのまま社会への参加意欲を低下させてしまうニート族がどんどん増加する方向に向かうものと心配されます。現在、このニートと言われる、働く意欲もなく、結婚もしない無業者が五十二万人もいるそうです。ことしの成人の数は百五十万人。あるメーカーの成人を対象にした調査で「あなたの時価総額は」との質問に最も多かった回答は「ゼロ円」だそうです。フリーター、ニートの卵です。 今後も日本型産業日本企業同士生き残り戦争はますます熾烈になりますし、生き残った企業は、少子化に伴う人手不足、二〇〇七年問題と言われる一九四七年から四九年生まれの日本経済を支えた世代、約七百万人の定年に対処しなければなりません。そのため、中国等の安い人件費に負けないためにも二〇〇七年までにすべての工場をロボット等により自動化しようと急いでいる社会であることに触れながら、たった一つ、秋田県に若者を定着させるためにはどうしたらよいと考えているのか、産業経済労働部長にお尋ねいたします。 次に、農業問題について伺います。 我が国の食料は、アメリカ、中国を筆頭として二百を超える国々から輸入されております。ますますグローバル化が進展すると思われます。このような諸外国から大量の食料輸入を余儀なくされていることは、国民のニーズの多様化という面もさることながら、急速に進む少子・高齢化と人口減少によって、生産量も年々減少するなど、生産基盤が弱体化していることに根本の原因があります。 このような閉塞した状況の中で県内農業を活性化させるためには、個別農家の規模拡大と農業法人を育成することが基本でありますが、最近の動きとして、農業外からの企業の参入が注目を浴びております。このことにつきましては、その必要性について、数年前にも一般質問をしたことがありますが、規制緩和を進める政府の構造改革によって、全国各地で農業特区が誕生しております。他県では、食品メーカーなど農業関連の大企業が農業参入を果たしている例も見られますが、本県は、大企業こそ少ないものの、土木・建設関係の会社が数多くあります。しかも、農業県であることを反映して、その会社の従業員は農業関係者が比較的多いわけでありますので、農業参入には条件が整っていると思われます。確かに、一般の会社が農地のリース方式などによって農業に参入するということは種々のリスクが考えられますが、活性化の点からすれば、リスクよりもメリットのほうが大きいと考えられます。県として、むしろ積極的に農業参入を図るべきであると考えますが、農林水産部長の考え方をお聞かせください。 次に、農業県でありながら、地元の農産物が決して安い価格で手に入らない、むしろ県外から入ってくる、いわゆる下り物のほうが安い価格で買えるというような逆転現象が起きているという点に関する素朴な疑問についてであります。 確かに、最近は、県内各地に開店した農産物直売所で地元の新鮮な野菜が市価よりもかなり安く買うことができるわけでありますが、県内消費者からすれば、極めて限られた地域、限られた量でしかありません。大半の消費者は、スーパーなどの量販店などで買い求めることが一般的でありますが、地産地消の高まりやスローフードへの関心が高まってきていることから、地元の農産物を買いたいと思っている消費者も多いと思います。しかし、現実には、県内産は量が少なくて、価格も高くて手が出ないということをよく耳にします。このような消費者の要望にこたえて、県は、地の利を生かした新鮮な県産農産物を安価に供給する責任があると考えます。これによって、県内生産者と消費者の距離を縮めることにもなります。 そこでお伺いしますが、季節によって異なることとは思いますが、県内の店頭において、主な品目の県内産と県外産のシェアと価格の実態はどうなっているのか、また、地元の農産物を県内流通させるため、県として出荷団体などに対して、今後どのように指導していこうとしているのか、農林水産部長のお考えをお聞かせ願います。 次に、現在の世の中は、環境、循環、食の安全・安心がキーワードになっております。県内において、これらをめぐる動きがどうなっているかを見ますと、農薬や肥料を大量に使用して米や野菜を生産する手法は、環境破壊が大きな問題となってきたことから、もう過去のものとなりつつあります。このために、有機や特別栽培農産物への取り組みや、先日、新聞で紹介されておりましたが、稲作の大敵、いもち病は苗を育てる段階でしっかりと防除すれば、田植え後の農薬散布はほとんど必要がなくなるという技術が農業試験場で開発されたとか、肥料についても大幅に減らすことができるとか、いわゆる減農薬・減肥料の技術が開発されているとも聞いております。 また、食については、無登録農薬やBSE、鳥インフルエンザ、食品の偽装などの問題が次々に発覚し、県民の間には、食品の品質や安全性に対する関心と懸念が大きく高まってきたことから、生産者の名前と生産履歴がわかる仕組みが導入されてきております。さらに、昨年度はたび重なる台風や水害によって大きな被害を受けたわけでありますが、最近の気象変動は、地球温暖化が確実に進んできていることを肌で感じさせられます。これまでの大量消費、大量廃棄のしっぺ返しを受けたことによるものでありますが、この反省から、家畜排せつ物や生ごみの循環利用への取り組みも始まっております。 以上のように、これまで各部門でさまざまな取り組みがされていることは理解しておりますが、今後は、県民の目に見える形で総合的に取り組む必要があるのではないでしょうか。 この面で先進県である滋賀県では、直接支払いまで踏み込んだ取り組みがなされているようでありますが、秋田の恵まれた自然を後世に引き継いでいくためにも、秋田でとれた農産物は、安全・安心で高品質かつおいしい物だということを県民の理解、総ぐるみ、いわゆる県民運動として盛り上げ、秋田の農産物を全国に売り込むような総合的な施策を講ずるべきだと考えますが、農林水産部長はいかがお考えでしょうか。 次に、少子化対策について伺います。 ちょうど二カ月前になりますが、横浜市立西前小学校と愛知県瀬戸市立の小学校の六年生に「少子化が進むとどんな問題が起きると思うか」という調査を行ったところ、「税金を払う人が減って破産する」「科学が進歩しなくなる」「瀬戸焼の担い手がいなくなる」「災害の時に助けてくれる人がいなくなる」「社会が寂しくなる」、また、「どうしたら人口がふえるか」と聞いたら、「赤ちゃんがどんどん生まれたらいい」と答え、「では、女の人はどうしたらたくさん生むようになるだろう」という問いには、全員が考え込んだまま答えがなかったと、ある本に書いてありました。 子供の数が減っていく日本は、今後、先行き不透明な時代に突入し、世界一のスピードで少子・高齢化が進行していきます。そして、世界一の日本の中でも我が秋田県は、日本一の速さで進んでおります。生みたくても踏み切れない、生むと損するかも、子育てよりも自分、子供を負担と感ずる人がふえております。 人口減少社会での社会基盤整備にしても、十年後には新規の道路や橋をつくることはできなくなり、今までの積み上がった社会基盤の建てかえ費が膨らみ、さらには維持更新に二十五兆円もかかり、利用者不在の施設を抱え、日本は「修繕国家」になるとも言われております。 我が秋田県も、国への依存ばかりでなく、みずからの手でこの少子化対策の課題を克服しなければ、少子・高齢化の時代に取り残されてしまい-残念ながら秋田県は既に取り残されつつありますけれども-この問題と本気になって格闘する精神があるのかどうか、問われていると思います。 そこで質問です。所属委員会の問題でもありますが、先般、当委員会で子育てに係る経済的支援策の見直しについて説明を受けました。それによると、見直し後の支援策の施行は、ことしの八月一日を予定しております。保育料二分の一助成となりますが、ことしの八月一日前に誕生すると四分の一になるというんです。八月一日以後に生まれると二分の一の助成なんだけれども、七月三十一日までに生まれると四分の一になる。八月一日まで出るな出るなと腹を押さえていないとだめなわけです。本当に少子化対策を考えているのかどうか、金のかかることではありますが、秋田県の子供として、何ゆえに同一にできないのか伺います。 このように一事が万事、どの部においても一部手直し的政策でしのいでおりますが、時代の変化に政策マンは気がついていないように思われます。この少子化についての調査では、必ず原因のトップに経済的負担が挙げられます。であるならば、特に秋田県で実現してほしいのは、子供一人生まれたら、月六万円の助成、二年目には五万、三年目には四万円、以下三万円、二万円、一万円と六年間の助成をし、安心して子供を生み育てることのできる環境づくりが必要だと思うのですが、実現する気があるのかどうか、健康福祉部長に伺います。 次に、あきた教育新時代創成プログラムについてであります。 一九九〇年ごろより、その担い手である若い世代に気がかりな現象が少なからず生じてきています。学級崩壊、殺人、家庭や学校内での暴力、さまざまな非行や犯罪の増加等々、その要因は複雑多岐にわたりますが、一つ確かなのは、青少年は大人の社会を映す鏡であるということではないでしょうか。人は、親や先生、先輩や上司から、折あるごとに直接、間接の教えを受けて成長します。そして一人前の大人になれば、今度は自分が親として、先生として、また、先輩として子供を育て、後輩の指導に当たる。その営みが適切に重ねられてこそ、社会の健全な発展が可能になる。もし人間として大事なことを教えられずに育ち、したがって、みずからの人生を律する尺度を持たない人が親になり、先生となって人を導く立場に立つという姿がふえたとしたら、社会は混迷、混乱の悪循環になり、打つ手がなくなり、反面教師ばかり育つことになりはしないか。親として、先生として、子や生徒に伝えるべき何物かをしっかりと持っているかどうか、それを自分なりの方法で子供たちに伝えようとしているかどうか、大人の務めとして、それぞれに強く求められているような気がしてなりませんが、あきた教育新時代創成プログラムを見ると、全くその思いというものが感じられないのはなぜでしょうか。インスタントラーメンをつくっているような思いがいたします。 改革は必要ですし、統合も必要でしょう。しかし、このプログラムは、教育に携わる機関が作成したとは到底思われません。機械がつくったもののように冷たく感じませんか。安くあげるために正社員ではなくパートを大量に採用して、一定の年齢になればやめていただき次のパートを採用する企業よりもはるかに冷たく感じます。 また、複式学級が二つ以上あれば事務職員は置かない、養護教員も置かない、教頭もだめ。大きくても小さくても、学校を運営するには同じ労務、教育が必要だとは思いませんか。教育長の御所見を伺います。 企業でも、効率の悪い工場は閉ざし、効率のよい工場に移転いたしますが、子供たちは、機械作業ではなく、優しい心を育てるのが本来の目的ではありませんか。この計画は、油のない機械がつくったとしか考えられません。少し油をさして、いま少し全体を見直す考えはないのか、教育長、御答弁ください。 また、私たちは、今の先生の採用、教育委員会のあり方にも問題があると思うのです。採用は県で行い、異動についても県で行います。そのせいなのか、地域に密着した地元の先生がいない学校がいかに多くなったことか。気のきく校長先生や市町村の教育長がいる場合は、どうにかして教育に熱心な先生を確保しているように思いますが、このような例はまれであり、異動してほしい先生はどこも受け入れを希望する学校がなく、本人もやる気がなくなり、先生としてあってはならない行動に結びついているのではないでしょうか。教育長、あなたも校長先生でしたからわかると思いますが、熱心な先生を他校に進んで出して、他校が異動してほしいと思っている先生を引き受けますか。考えをお聞かせください。 ここに問題があると思うのです。地元で…… ○議長(鈴木洋一君) 金谷議員に申し上げます。時間です。結論をお急ぎください。 ◆二十七番(金谷信栄君) はい。……ここに問題があると思います。これでは、当然教育どころではなく、ましてやクラブ活動の指導なんて絶対に嫌、これが、今の学校の実情のように思うのですが、教育長の考えをお知らせください。 そこで私が思うには、県内を最低三ブロックに分けて、地元に密着した先生の採用、教頭、校長といえどもこのブロックで考えるようにして、全県の学校の競い合い、クラブ活動にしても、県南に負けたくない、県北の先生はこんな工夫をしている、特に八森中学校がすばらしいとか、いい意味で張り合うことが、先生にとっても生徒にとっても、我が秋田県にとってもよいことだと思いませんか。 以上の点を反映させた教育新時代創成プログラムとしてほしいと願うものでありますが、教育長のお考えをお知らせください。 もう一つあるんですが、終わります。どうもありがとうございます。(拍手) ○議長(鈴木洋一君) 県当局の答弁を求めます。   [知事(寺田典城君)登壇] ◎知事(寺田典城君) 金谷議員の御質問にお答えいたします。 最初に、秋田空港ターミナルビル問題についてでありますが、初めに、組織については、会社では、規模に比べて部署数が多いことや兼務職員が多いという弊害を解消し、簡素な組織体制の確立と責任体制の明確化を図る目的で、平成十六年六月一日付で、組織改正とそれに伴う人事異動を行っております。その主な内容は、旅行事業部と空港活性化室を新たに設置した企画部に編入するとともに、レストラン事業部と売店事業部の直営部門を統合して直営部としたものであり、企画部の予算は、集約前の部署からそのまま移行しております。このたびの組織改正は、取締役会の権限として商法第二百六十条第二項第四号に規定されている「支店その他の重要なる組織の設置、変更及び廃止」には該当しないとの判断から、人事異動を含め代表取締役社長がその権限に基づいて行ったものでありますが、後日、各取締役にもその内容を報告し、了承を得ているところであります。 次に、人事についてでありますが、会社が、社団法人秋田建設技術センターに職員の派遣を依頼した目的は、社内に技術職員が一人もいなかったことから、NEDO関連工事を含む各種工事に関する業務全般を担当してもらうためであり、派遣された職員は、当該職務に必要な十分な知識と能力を有している者と聞いております。 なお、NEDO工事の発注に当たっては、県内業者の活用を図るため、省エネ工事に精通した国内大手業者とのJVとしたものであるとの事後報告を受けております。 次に、工事契約についてでありますが、フライトインジケーターの取得をめぐる問題につきましては、現在、司直が事実上の捜査に着手している状況にあると認識しており、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。 次に、外部監査についてでありますが、平成十四、十五年度分の経理データについては、当時、会社の内部情報が何者かによって外部に持ち出された可能性があったことから、外部監査を控え、経理データの漏えいや改ざんを防ぐため、一時的に他の記録媒体に移して保管したものと聞いております。したがって、このことによって十六年度中の経理処理には支障はなく、外部監査にも全く影響はなかったものと考えております。 また、当時、パソコンのパスワードを知っていて、経理データを操作できる人は、三人いたと聞いております。 なお、会社では、外部監査結果を受けて、平成十六年十二月十七日に警察当局に告訴に関する相談に行っておりますが、現在当局による関係者からの事情聴取などが行われており、県としては、既に事実上の捜査が開始されているものと認識しております。 平成十五年八月の会食の件については、当時、建設交通部長と山本前社長との顔合わせということで行われたものであり、その際に、立体駐車場に関する業者選定の話などは一切出なかったと聞いております。 なお、当日の出席者に確認したところ、「社員の家族がやや酒に酔っていた社員を迎えに来たことは事実であるが、その後、和やかに歓談をされてお帰りになったはずである」とのことでした。 また、監査報告対策改善委員会のメンバーについては、社会的に十分信頼できる資質と能力を備えた方々であり、適切な改善策を出してもらえるものと考えております。 次に、再発防止についてでありますが、今回の役員の人事については、外部監査で指摘されたさまざまな事項について、事実を明らかにし、早期に会社を正常化するため、県から社長を初め、専務取締役を一時的に派遣するとともに、常勤監査役の交代や監査報告対策改善委員会を設置したものであり、これはすべて取締役会及び株主総会の承認を得たものであります。 また、今回の問題については、外部監査でも指摘されておりますが、組織体制や社員のコンプライアンス意識の問題など、会社組織の根本的な部分のみならず、社内規程や決裁権限規程など個別のさまざまな要因も重なり合って生じたものと考えております。 空港ターミナルビル株式会社は、県が出資する第三セクターであり、県の人的関与は、自主性や機動性が十分確保されるよう、適材適所で最小限にとどめたいと考えておりますが、県が保有する株式については、空港の活性化や利便性の向上など、公共性が強く求められる会社であることから、今後とも株主として一定の関与が必要であると考えております。 私からは以上でございます。   [健康福祉部長(京屋太君)登壇] ◎健康福祉部長(京屋太君) ただいま御質問のありました少子化対策についてお答え申し上げます。 経済的支援策につきましては、これまでの検討をもとに、所得制限と自己負担の導入を図りながら、支援対象をすべての子育て家庭に拡大することとし、一歳以上の子供の保育料の半額を助成するとともに、ゼロ歳児を対象に支援金を支給するという新たな制度を創設したいと考えております。 この施行時期については、事業の実施主体となります市町村における合併への対応や事務手続の問題などを考慮し、本年の八月一日とするとともに、保育料の半額助成の対象も、八月一日以降に生まれる子供に適用すると、こういう方向で検討を進めてまいりました。しかし、同じ年度に生まれた子供に対し、異なる支援を行うことについては、各方面から意見が提示されたこともありまして、同一学年同一支援の考えにより、保育料の半額助成の対象を、本年の四月二日以降に生まれる子供にまで拡大したいと考えております。 また、御提案の、すべての乳幼児に対する手当の支給については、経済的支援策としての一つの考え方ではございますが、年間約二百億円もの大規模な財政支出が想定されることから、県財政の面からも、その実現は困難であると思います。 いずれにいたしましても、このたびの県の見直し案は、生活基盤の弱い子育て中の若い世帯に対し、現行制度に比べ、効果的、現実的な経済支援策を講じようとするものであり、子供を健やかに生みはぐくむ環境づくりに結びつくものと考えております。 以上、お答え申し上げます。   [農林水産部長(竹村達三君)登壇] ◎農林水産部長(竹村達三君) 農業対策についてお答えいたします。 まず一般企業の農業参入についてであります。農業従事者の減少、高齢化や、それに伴う遊休農地の増加など、本県農業を取り巻く厳しい状況の中で、これからも農地の効率的な利用を図るためには、農業外の一般企業が、雇用労働力や機械・設備などを活用し、経営ノウハウを発揮しながら、農業に参入することも、今後、重要になってくると考えております。このように、いわゆる異業種参入については、土地利用や水管理を適正に行うとともに、経営方針の変更による農地の遊休化を招かないよう、特に配慮した取り組みが必要ですが、県内では、地域とうまく調和を図りながら、稲作を行う建設業者も出てきております。 これらの事例では、農業生産法人として子会社を設立し、作業受託や賃借権の設定などを行っていますが、本県では、このようなやり方が、地域に溶け込んだ経営につながりやすいと考えております。今後、県としても、全国展開される方向にある農地のリース方式も活用しながら、地域との協調、協力が得られるよう、指導助言するとともに、技術研修や融資などにより、参入のための条件整備を進めてまいります。 次に、地元青果物の県内流通についてであります。 県産青果物の出荷状況を見ると、その多くが首都圏などの大消費地に出荷され、県内へは全体の二割以下となっており、また、県内消費に占める県産のシェアも、キュウリやアスパラガスなどで、夏場に八割を超えるものの、年間を通じては五割を切っております。一方、県内産の小売価格については、品目や季節などによって異なり、一概に他県産と比較することは困難でありますが、何よりも鮮度でまさるため、地場産を求めるニーズが年々高まってきております。こうした状況は、生産が夏から秋にかけて集中していることや、首都圏の市場に比べて取引価格が総じて低いことなどが背景にありますが、生産者・出荷団体の県内市場へのアプローチ不足や、市場側が県内に産地を有するメリットを十分生かしていないことも要因となっていると考えます。 このため、新たに、出荷団体と市場関係者との協議の場を設け、品目や品質に応じて県内向けの出荷を促すとともに、卸売市場を拠点に、需要に応じた少量多品目産地の育成や「朝どり午後せり」の拡大などに取り組んでまいります。また、地域振興局が中心となって、直売施設や量販店における地場産コーナーの設置など、地域の実情に応じた取り組みをサポートし、地場流通、地場消費のさらなる拡大に努めてまいりたいと思います。 次に、全国への販売促進施策についてであります。 食をめぐるさまざまな問題を背景に、安全で安心できる食料を求める消費者意識がこれまでになく高まってきており、こうした消費者の信頼を得るための取り組みは、産地としての必須条件となっております。本県では、これまで、消費者や流通関係者に信頼される産地を目指し、マーケティング対応型農業の実践を基本にしながら、環境に優しい循環型農業の推進や特別栽培農産物の生産拡大、トレーサビリティーシステムの構築などに、全国に先駆けて取り組んでまいりました。こうした取り組みは着実に普及浸透してきておりますので、今後、さらに有利販売や販路拡大につなげるよう、これまでの取り組みを本県独自の流通販売戦略としてシステム化し、差別化による市場競争力の強化に生かしていくことが重要であります。 このため、安全・安心を基本に、県産農産物の中で、一定以上の品質を備えたものを第三者機関が「あきたブランド」としてお墨つきを与え、自信と責任を持って消費者にアピールする総合的な認証制度を立ち上げ、意欲ある産地の取り組みを後押ししてまいりたいと考えております。今後、この認証制度のもとで、ブランド産品を先導役として位置づけながら、県産農産物の流通販売対策を強化し、マーケティング対応型農業への転換を加速してまいりたいと思います。 以上であります。   [産業経済労働部長(加藤清美君)登壇] ◎産業経済労働部長(加藤清美君) 若者の雇用対策についてお答えいたします。 若者の県内定着には、若者が自己実現を達成できるよう、秋田での仕事や生活を通して、その持てる多様な能力や創造力を発揮しながら、自信と誇りを持って挑戦できる、そういう環境を整備することが重要と考えております。特に、我が国が得意とする物づくりやサービス業の分野において、若者の活躍の場、夢を実現する場を切り開いていくことが求められております。経済社会のグローバル化の中で、企業の置かれた競争環境はますます厳しいものとなり、生き残りをかけた生産工程の効率化、自動化の流れが一層加速していくことは避けられませんが、生産工程の効率性や最終製品の品質を微妙に左右する、いわゆる生産に関する暗黙知の部分については、工程を運用、維持管理する技術者の能力に依存せざるを得ません。これからの勤労者には、このような、機械にはできない人間ならではのわざを磨き、その高い技能を生かすことが求められるということであり、ここに、これからの若者たちが自信と誇りを持って挑戦し、活躍する場があるものと考えております。 県としては、現在策定中の秋田県工業振興アクションプランに基づき、秋田の強みをより伸ばした産業の振興を行う一方で、物づくりやサービス業のプロを目指している若者に対し、テクノスクールや職場において、おのおのの知識や技術を磨くための機会の提供に努めてまいります。さらに、新しく企業起こしという夢に挑戦する若者には、県として、創業からマーケティングまで経営全般にわたる支援に努めてまいります。 以上であります。   [教育長(小野寺清君)登壇] ◎教育長(小野寺清君) 金谷議員から御質問のありました、あきた教育新時代創成プログラムについてお答えいたします。 このプログラムは、少子化や財政難を背景に、困難な状況下においても教育の水準を維持・向上していける教育体制の構築を目指して策定したものであり、教育内容を論ずるよりも、現在、私どもが自信を持って進めているふるさと教育などに代表される本県教育の基盤を、ますます盤石なものにしていくための道しるべとしての役割を担っているものであります。こうした策定趣旨から、正教員をできるだけ確保する一方、学校規模の縮小、学科の再編により、これまで配置されていた正職員のうち、フルタイムの勤務を必要としない部門では、非常勤職員への配置がえや外部委託をするとともに、原則として一年限りの任用である臨時講師の中から、学校現場を安定させることと、保護者の不安を取り除くために三年間勤務できる任期つき教員を採用していくこととしております。こうした措置は、正教員、任期付教員、非常勤講師等がそれぞれの与えられた役割を果たすことにより、教育水準の維持・向上を図るとともに、むだを省き、効率化を促すもので、決して教育力の低下につながるものではありません。 また、例えば、児童数が十数名の小学校には、校長、教頭、養護教諭、教諭三人の計六人の正職員が配置され、管理職の割合が高くなっております。こうした小規模小学校について、教頭のかわりに、直接児童の教育に携わる教員を配置し、教育の充実を図れるような選択肢を市町村に提案したものであり、各市町村において十分に学校の実情を把握し、検討がなされるものと考えております。 次に、教員の異動についてであります。市町村立の小・中学校には、基本的に地元の教員が配置されておりますが、現在、広域的な人事異動を行っているのは、一つには、教員の出身地に地域的なアンバランスがあるためであります。県北地域では、地元出身者が少なく、他の地域の出身者を配置しなければならないのが実情であります。もう一つの理由は、教員が出身地以外の地域で生活体験することにより、広く見聞を深め、それを刺激として、教育活動が活性化することをねらいとしているからであります。こうしたことから、今後とも一定割合の人事異動については、広域的に行っていく必要があると考えております。 市町村内及び広域にわたる教員の異動については、これまでも教育事務所長が、各市町村教育長や各学校長との年間を通じた情報交換の上に実施されてまいりましたが、地域を限定した異動には、地域密着型の濃密な教育活動が期待できる反面、全体の規模が小さい場合、人事の硬直化による職員の士気の低下や組織活力の沈滞化を招くおそれもあります。 議員御提案の広域ブロック別の採用につきまして、県が全県から広く優秀な教員を募り、公平・公正に採用することが現行制度の趣旨でありますので、今後の県と市町村との役割分担のあり方など地方分権の進捗状況を見きわめ、慎重に対応していく必要があると考えております。また、教員の資質向上や能力開発を主眼とした新しい人事評価制度を平成十八年度から実施することもプログラムに盛り込むとともに、これまで継続して実施してきた学習状況調査や体力テストの結果についても、各学校が全県、各地区と比較できるよう資料を公表いたしましたので、各校長はこれを有効に活用し、各地域、各学校の活性化に向けた積極的な人材育成の取り組みを進めているところであります。プログラムに掲げたこうした取り組みは、今後本格化してまいりますが、その実施過程において、学校現場や広く県民の意見を伺うための機関を設置し、そこで交わされる議論を参考に、プログラムの弾力的な運用を心がけてまいりたいと考えております。 以上であります。 ◆二十七番(金谷信栄君) 知事の答弁も、大体予想の範囲で、私が原稿を書くともう少し上手に答弁するんですが、恐らくそう出てくるだろうなというふうに思う範囲でした。 ただ、聞くことが少し多過ぎますので、改めて、意見も含めまして、総括でまとめてやりたいと思います。ここで今やっていると非常に時間がかかりますので、改めて総括でやらせていただきます。終わります。 ○議長(鈴木洋一君) 二十七番金谷君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。 △午前十一時三十一分休憩 --------------------------------------- △午後一時零分再開    出席議員    四十五名    一番  淡路定明     二番  田口 聡    三番  山内梅良     四番  三浦英一    五番  こだま祥子    六番  渡部英治    七番  門脇光浩     八番  平山晴彦    九番  柴田正敏    十一番  加成義臣   十三番  川口 一    十四番  瀬田川栄一   十五番  中田 潤    十六番  杉江宗祐   十七番  京野公子    十八番  大関 衛   十九番  小田美恵子   二十番  武田英文  二十一番  宮腰 誠   二十二番  小田嶋伝一  二十三番  木村友勝   二十四番  加藤義康  二十五番  安藤 豊   二十六番  土谷勝悦  二十七番  金谷信栄   二十八番  鶴田有司  二十九番  冨樫博之    三十番  原 盛一  三十一番  石田 寛   三十二番  高松和夫  三十三番  菅原 昇   三十四番  菅原龍典  三十五番  穂積 志   三十六番  大野忠右エ門  三十八番  中泉松之助  三十九番  津谷永光   四十番  安杖正義   四十一番  佐々木長秀  四十二番  佐藤次男   四十三番  工藤嘉左衛門  四十四番  長谷部 誠  四十五番  北林康司  四十六番  藤原俊久   四十七番  辻 久男  四十八番  北林照助---------------------------------------          地方自治法第百二十一条による出席者               教育委員会委員長       渡部 聡               公安委員会委員長職務代行者  大渕宏道   他は休憩前に同じ--------------------------------------- ○副議長(穂積志君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第一、一般質問を継続いたします。二十二番小田嶋伝一君の一般質問を許可することにして御異議ありませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり] ○副議長(穂積志君) 御異議ないものと認めます。二十二番小田嶋君の発言を許します。   [二十二番(小田嶋伝一君)登壇](拍手) ◆二十二番(小田嶋伝一君) 民主党・無所属クラブの小田嶋伝一でございます。皆さんの御配慮により、質問に参加させていただくことができました。心から感謝を申し上げながら質問をさせていただきたいと思います。 本定例会に提案されました平成十七年度一般会計予算は、骨格予算としながらも総額六千五百四十九億円余りで、前年度対比七・一%のマイナス予算であります。しかしながら、県民のニーズがますます広がる中で、減額マイナス予算にもかかわらず、県民生活に密着した事業を着実に織り込んで編成されましたことに敬意を表しますとともに、新年度の本格的な予算での新事業に大いに期待するものでもあります。 歳入では、まず景気低迷しているという中で、法人二税を中核として県税が〇・四%とわずかながらもプラスになっていることは、秋田県経済が頑張っている、そのあらわれと、うれしく思います。しかし、地方交付税が一・六%の伸びと、前年度ほどの削減幅とはなっていないようですが、臨時財政対策債と合わせると、二・五%、約五十八億円の減と、依然厳しい状況であります。今後もこうした状況が続くのではないかと危惧するものであります。 また、国庫補助金が一九・六%も減っているのは、骨格予算であることのほかに、三位一体改革の影響もあるのではないかと思われます。そもそも三位一体改革の本来の趣旨は、それぞれの地方が持ち味を生かして自立したまちをつくっていけば、日本全体も元気になるというものではなかったでしょうか。ところが、当初から補助金一兆円削減というノルマ設定に始まり、国と地方、あるいは省庁間の金の取り合いになり、国と地方の関係をどうするかという基本的なものがなかったのではないかと思われます。また、政府は、国の財政再建を優先して、地方にしわ寄せをしていると言えるのであります。昨年末になり、ようやく示された改革の全体像は、そうした意味で地方の裁量を広げるどころか、全く期待外れであり、本県にとって明るい展望は期待できないのではないでしょうか。 こうした状況を背景に、県財政はより厳しいものになることが予想されますが、こうした状況を踏まえて、今後の財政運営をどう展開していこうとするのか、知事の御所見を承ります。 次に、道州制についてお伺いします。 平成の大合併と言われました市町村合併も、申請期間の三月三十一日を目前に、大詰めを迎えました。関係市町村の皆様の御努力に敬意を表したいと思います。東奔西走されました寺田知事におかれましても、まことに御苦労さまでした。 さて、これまで我が国において、過去二回の大合併がありました。一つは一八八八年の明治の大合併であり、このときは、市町村制度の導入に伴い、行政単位を整理するという目的があったと言われています。二回目は一九五三年からの昭和の大合併であり、このときは、新制中学校の設置・管理等の事務を市町村に円滑に行わせることが目的だったと言われております。 それでは、このたびの平成の大合併の本質は何なのか。国の歳出削減を目的としたもので、企業に例えて「リストラ合併だ」と言う人もおります。確かに三位一体改革なるものを見ていると、この国の中央政府は、地方分権の理念とはほど遠いところで物事を考えているのではないかと思われるのであります。やはり、リストラ合併だと言いたくもなります。 さて、市町村合併もここまで進み、基礎的自治体としての整備が徐々にでき上がってまいりました。総務省は、これまでの三千から、来年の四月には二千未満に再編されるとしております。しかも、人口十万人以上になれば、保健、福祉、医療、教育など、ほとんどの事務について市で対応が可能であるとも言われております。したがいまして、国と、この基礎的自治体との間に挟まれた中二階としての県の存在理由はどうあるべきかと問われるのが、自然の流れと思います。 寺田知事は、かなり早い時期から道州制を唱えておりました。私は、道州制は、国家がより身近になる究極の行政改革と思っていますが、そうなったときの国と県の姿はどのようになるのでしょうか。既に愛知県では、二〇〇四年から財界なども含めて、道州制などに関する検討委員会を立ち上げており、ホームページでもアクセスできるようになっております。 また、中央政府が地方分権の理念から遠いところで物事を考えているように危惧される中、今後、国の主導による道州制の議論がどのような方向へ進んでいくのかも心配です。また、道州制といっても、アメリカやヨーロッパの先進地域では、広域的な地方自治体の集合体ではなく、連邦制であります。知事は、どちらが好ましいとお考えでしょうか。この点を踏まえ、道州制について、いつからどのような形で県政の課題として取り組むおつもりなのか、お教えください。 次に、県民医療の充実についてお伺いしますが、まず、厚生連病院の改築についてであります。御案内のように、厚生連病院は農協組織が中心となって運営するものであります。秋田県においては、公的病院として地域医療になくてはならない存在であり、県民医療を考えるとき、避けて通れないものの一つと考えております。 そうした意味で、いまだ改築の進んでいない厚生連病院を思うとき、新潟中越地震の際を思い出すまでもなく、一番に災害時に役割を果たさなければならない病院が、その役割を果たし得ない事態が起きないかと危惧するものです。 特に、現在建てかえの終わっていない病院は、建設当時には地震への対応もなかったと思われます。幸い、現在、雄勝中央病院と平鹿総合病院が改築中であり、いずれも県の補助が新年度予算に計上されておりますことをまことに喜ばしいと思っておりますが、しかし、まだ四つの病院が手つかずのままであり、その中でも、鷹巣町にある病院は、町村合併との関係で、公設民営としての話が進んでおります。他方、鹿角、湖東、仙北の三病院は、それぞれ建設のための委員会を立ち上げてはおりますが、農水省が示す固定比率の問題があり、借り入れによる病院改築のための資金確保が困難となっております。加えて、農協にも今年度決算から減損会計が適用され、資産評価がより厳格になることから、病院改築の環境が一層厳しくなるのではないかと懸念されます。 私は、三つの病院のこれからの建設計画の道筋をつけてやることが、安心できる県民医療の第一歩と思いますが、知事は鹿角、湖東、仙北の三病院のそれぞれの改築計画をどのようにお考えなのかお知らせください。 次に、先端医療についてですが、県には、脳研とリハセンという県立病院があります。先月、ある新聞に「脳研の最新研究から」という記事がありました。「脳卒中では秋田方式と呼ばれる治療方法を独自に行った」とありましたが、今でもこの種の病気では、全国的に高い評価を受けていると聞いております。また、PET-陽電子放射断層撮影装置も導入されているのが二月七日の記事にありました。この撮影装置は、小さながんも見つけることができるものですが、しかし、全国ではまだ六十カ所程度しか導入されておりません。 私は、こうした脳血管研究センターの先端技術と最先端装置が、県民生活と密着して、健康と福祉の立場から予防に重点を置いた健康管理ができないものかと思うものであります。御承知のとおり、秋田県の高齢化率は全国でも高く、そして、死亡率も全国一と言われています。また、平均寿命も全国平均以下であります。農村医学会では今、改めて塩分の摂取量の調査を始めているのが実情であります。私は、こうした時代に、秋田における最先端医療機関である脳研とリハセンの役割として、秋田県民の健康を守るため、健康や福祉、予防にも重点を置いた活動を行うことが重要課題になってくると思うのでありますが、知事の御所見をお伺いします。 次に、農業問題について伺います。 第一点は、県内における堆肥を活用した農業生産についてでありますが、知事は、昨年、スローフード運動の発祥の地と言われるイタリアに行かれたと聞いています。「ファストフード」に対して「スローフード」と言われますが、本来のコンセプトは、安心・安全の食生活と、私は思っています。安心・安全な食材としての作物の栽培は、とりもなおさず有機栽培というものにつながるものだと思います。今、県内に家畜排せつ物を原料とする大規模な共同利用堆肥センターが二十一施設、現在建設中のものを入れますと二十二施設あります。実際にそれぞれの施設は有効な利用が図られているのでしょうか。また、これらの施設を中心に、循環型農業を推進すると言われておりますが、有機農業に地域ぐるみで取り組み、安全・安心な農作物を供給できる仕組みまで結びついているものか、その実態について農林水産部長にお伺いします。 二つ目は、地産地消の拡大についてでありますが、去る十月十日から、私ども民主党・無所属クラブの会派では、議会の皆さんの賛同を得まして、エコ農業の視察を目的として、ドイツに行ってまいりました。 養豚農家ということで訪ねた当地の農家は、法人化された大規模なもので、日本でイメージするような、私どもの思う農家とは比較になりませんが、ともかくここではし尿は一切外には出さず、堆肥は自家の農地に還元して土づくりを行っているとのことでした。それは、健康な土をつくり、そこで健康な作物を育て、その健康な作物を食べた人が健康であるという理念からでした。また、そこは、自分で飼育した豚のハムや、有機栽培による麦を原料としたビール、あるいは自家製のパンを焼いてお客さんに提供するという農家レストランでもありました。しかも、お客は、有機であることがわかる範囲、顔の見える範囲の人々として、五十キロメートル圏内に住む人々に限定するというこだわりを見せております。まさに地産地消の考えを実践するものでした。 そうした意味において、このたびも地産地消にかかわる事業に予算配分がされておりますが、いま一つ考えてもらいたいものは、農家が直接近場の人を中心的な客とする食堂、いわゆる農家レストランを積極的に支援していただきたいと思うのです。せっかく設備投資をして東京や遠くのお客さんに秋田のよさをと思っても、なかなか難しいのが今のグリーン・ツーリズムの課題と思われます。徹底した有機栽培による肥培管理、安全・安心な食材を自分の目で確かめることのできる農家レストランが、やがては健全なグリーン・ツーリズムに結びつくのではないかと考えます。知事の御所見をお聞かせください。 次に、担い手育成について。今月の四日、農水省と連携のもとに、JA全中、全国農業会議所、日本農業法人協会が中心となって、ことしの四月には、全国担い手育成総合支援協議会を設立するということが報道されております。「官民一体で担い手育成」との見出しもありましたが、まさに農業における担い手は、ひとり農業にとどまらず、国民的関心事と思います。ただ、その設立に当たって、担い手の育成の重点方針の中には、第一に、認定農業者数の拡大、第二に、集落営農の組織化と法人化、そして、米の担い手経営安定対策への加入促進が挙げられております。 その内容を見ますと、地域水田農業ビジョンでは担い手とされながらも、いまだ認定農業者になっていない農家約十四万戸、担い手予備軍である約十九万戸を認定農業者へ誘導すること、地域水田農業ビジョンに位置づけられた一万五千にも及ぶ集落営農、あるいは農作業受託組織を法人化すること、さらには担い手経営安定対策では、加入要件を満たす農家が約九万戸程度あると言われています。 しかし、私は、このように認定農業者などの効率的な経営体も必要だとは思いますが、小規模農家が排除され、集落内のコミュニティーが失われることもまた許されないことと思います。果たして県はどのような対応をお考えなのか、お尋ねいたします。 次に、食に関する課題について。食料自給率に一向に変化がなく、足踏みを続けている状況に、私はいら立ちを覚える者です。現在の計画では、自給率を二〇一〇年度には四五%、カロリーべースで引き上げると目標を掲げています。しかし、このところ六年間は、四〇%のままです。そればかりか、この目標の達成は困難であると五年間先延ばしをする案や、新しい目標として下方修正する案、あるいは最近になって、金額で表示する案まで出てきました。現在、秋田県では、米以外の作物では軒並み自給率が三割を割っております。これを高めることが、自給率の向上に寄与するものであり、農家としての農業経営を継続できるかどうかもかかっておると思います。 他方、私は、自給率を高めるためには、農業政策だけではなく、食料消費面も含めた全体的な政策も必要と思われます。今後、日本型食生活をどう普及させるのか、知事がイタリアで学んだスローフード運動を、どのように政策課題として反映していくのか、さらには、私どもが提唱している米の消費拡大につなげた米粉パンの学校給食への導入をどう進められていかれるのか、最近、「食育」という言葉が使われておりますが、もともとは農水省の地域水田農業ビジョンの中での「食育の推進」として出てきた言葉でありますが、私は学校給食の現場の中でも、この言葉が生かされるべきと思うのであります。こうした諸問題について、これからの県の取り組みをお聞かせください。 次に、秋田米トップブランド対策事業による無人ヘリの導入に関してお伺いします。十七年度当初予算では、横手市と大森町に無人ヘリを導入するというので予算が計上されております。いずれもふるさと農協の管内であり、大きな期待を寄せておるところであります。 前回の総括質疑でもお尋ねしましたが、この無人ヘリのライセンス取得については、受講費用が大変でございます。農村の後継者対策の意味からも、県の支援が必要と思いますが、いかがでしょうか、農林水産部長にお願いします。 次に、秋田ブランド流通販売対策についてでありますが、平成十七年度予算案では、厳しい県財政の中においても、野菜・花き価格安定対策事業へ二億千七百万円、あなたと地域の農業夢プラン応援事業へ五億四千六百万円が計上されております。大変喜んでおります。と申しますのは、我がふるさと農協管内では、これらの夢プラン応援事業を中心に、戦略作物に積極的に挑戦をしております。 その実績について少し紹介しますと、十文字町を中心に花の販売高が五億円となり、大森町と平鹿町を中心とした菌床シイタケが九億円、平鹿町のパイプハウスを利用した野菜団地でホウレンソウを中心に一億五千万円、アスパラ三億五千万円、スイカ、キュウリ、トマト、枝豆等で十億三千万円と、近年飛躍的な伸びを見せております。改めて申すまでもなく、このことは夢プラン事業を初めとした県の施策に負うところが大きいのであります。しかし、いまだ米に対する依存度が高く、野菜・花卉等の比率で見ますと、米の六八に対して野菜が三二ポイント、まだまだ米の占める割合が高く、このことは、我が地域に限らず、全県に共通するものではないでしょうか。したがいまして、この政策は、十九年度以降におかれましても、より継続・強化すべきと思うものです。 また、こうした施策は、農産物の有利販売がなされてこそ、意味を持つものであります。そこで、流通販売面についてお尋ねします。 農産物の販売は市場流通が九〇%であり、京浜地区を中心としたところが主な出荷先であります。したがいまして、県内出荷が著しく低いのが現状であり、地産地消の見地からも問題であると思われます。また、秋田ブランド認証制度が創設されるようですが、特別栽培農産物認証制度が先行しており、一般の生産者には経費の負担感だけが残るという声があります。県の認証という勲章もさることながら、販売に結びついて初めて意欲が出てきます。そのためには、市場を通さない、大手外食産業に対する販売への支援を含めて、販路拡大策をどのように県がお考えなのかをお知らせください。 次に、教育問題についてお尋ねします。 まず、小中一貫教育について。義務教育の六三制を弾力的に行うということで、東京都品川区では、構造改革特区の認定を受けて、二〇〇六年から小中一貫教育校の第一号を開校すると聞いております。本県では、中高一貫教育校が今始まったばかりでもありますが、小中一貫教育についても、私は取り組むべき課題ではないかと思うのです。 というのは、中央教育審議会の議論でも、今後の義務教育を考える上で重要な視点であるとし、「義務教育の九年間を六年と三年に分けるのは、今の子どもたちの発達や成長、心の問題に合わなくなってきている。子供の足を無理に靴に合わせるのではなく、靴を足に合わせるべきだ」と言っております。品川区の教育長の若月さんは、小中一貫教育について、「六三制を壊すものではない。九年間を一まとめに考え、それをどのように区切り、子供たちにどんな学校生活を送らせるか、これが本来の義務教育の弾力化だ」と言っています。 これまでとかく文部科学省は、地方に対してはしの上げおろしまで口を出す、そんなイメージがありますが、中高一貫教育校、小中一貫教育校と多様な教育が我が秋田県にあってもよいのではないかと思いますが、教育長のお考えをお聞かせください。 次に、三位一体改革の論議の中で、義務教育費国庫負担制度で二兆五千億円の廃止が問題となっておりますが、我が秋田県としては具体的にどんな形になるのでしょうか。また、昨年四月に導入されました総額裁量制は、国が財源を確保し、使い方は地方にゆだねると言っておりますが、これは地方の裁量が大幅に高まると言われていますが、実態についてお知らせください。 次に、教員の人事配置の権限についてでありますが、地方分権が進む中、市町村が思い描く学校をつくりたいとしても、教職員の人事配置は県に権限があり、市町村は大きな制約を受けているのが実情ではないでしょうか。地方の時代にあって、本県では、市町村がより主体性を発揮し、学校教育を進めていくために、教員の配置、その権限はどうあるべきなのか、教育長のお考えを聞かせてください。 次に、あきた教育新時代創成プログラムについても、一言だけ質問させていただきます。 資料編の中に、「平成十六年度の小・中教育年齢構成」というページがあり、二十歳代の教員数が全体の二・五%だと言われています。最も多いのが四十二歳とその前後十歳ですから、現在三十歳から五十歳までの教員が退職するときの教員の補充はどうなるのでしょうか。その時期になりますと、毎年二百五十人から三百人の退職者が出ることになります。秋田大学の教育文化学部では、定員二百九十人中教員免許を取得する学生は百人程度です。その全員を秋田県で採用しても百五十人から二百人の教員が不足することになります。教員は何も地元大学の卒業者でなくてもいいわけです。しかし、こうした状況は秋田県だけの現象ではなく、他県でも教員不足の状況になるのではないかと思われます。加えて、全国的にベビーブーム世代の終わりとともに教員養成課程の縮小で、一九八六年当時は二万人と言われた教員養成課程の入学定員が、今では国公立大学で九千七百三十人と、ピーク時の半分以下に縮小されています。秋田県内で不足なら県外からとはいかないのではないでしょうか。プログラムには、これらに対する見通しが見当たりません。いかなる見通しをお持ちなのかお知らせください。 次に、学校週五日制についてお伺いします。 日本が豊かになり、さまざまな問題が発生しているときに、子育ての問題が起こり始めたころ、文部大臣を務めた教育者永井道夫という人が、「問題は簡単だ。貧しさを与えてやればよい」と言ったそうです。京都の荒木さんという方が、それを実践されました。会社の部長職にありながら、子供のことが気がかりになったので、二人の子供を連れて、郷里の天草に帰って農業を始めたそうです。「農業は新参者にできるほど容易ではなく、困難を極めた生活ではあったが、しかし、そうした生活の中で、子供たちは立派に成長してくれた」と言っています。 しかし、だれもがそれをやるわけにはいかないのです。どうやって社会が子供たちの保育や教育を担っていくのか、学校教育は何をなすべきなのかが問われているときと思います。そういう意味で、学校週五日制について、私は疑問を感じています。はしの使い方から、常識、職業教育など、昔では考えられなかったことが、今は学校で教えなくてはなりません。教えることがふえているのに、教える時間を減らす週五日制では、追いつかないと思われます。土曜日を登校日として、学校で社会体験やしつけ教育に力を入れてもよいのではと思うのですが、国では、公立学校については、土曜日を休業日としています。秋田県は週六日制の地域であるというのも、地方分権の一つかと思われますが、そのようにはならないのでしょうか、お尋ねします。 最後になりましたが、秋田県には、「秋田県民歌」と「秋田県民の歌」があります。このたび、私は、秋田県民歌について質問をいたします。 今日、秋田県民のバックボーンは何かと問われたら、果たして何と答えることができるでしょうか。そうした意味を込めて、私は今、「秋田県民歌」を思い出しています。秋田をこんなに美しく歌い上げている歌はほかにないし、まさに「美の国あきた」は、この歌の中から出た言葉ではないかとさえ思っております。音楽の世界では国内にその名を残す崇高な作曲家、秋田が誇る成田為三、そして、秋田県の自然の美しさと産業を余すところなく歌い上げているこのすばらしい「秋田県民歌」を、家庭や地域で口ずさみ、次代を担う子供たちに親しんでもらうことは、秋田県民として自信を持って生きていくことにつながるものと信じます。このすばらしい歌を、県民の皆さんが親しめる手だてを講ずるべきと思いますが、知事の御所見をお伺いします。 以上、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
    ○副議長(穂積志君) 県当局の答弁を求めます。   [知事(寺田典城君)登壇] ◎知事(寺田典城君) 小田嶋議員の御質問にお答えいたします。 最初に、財政問題についてでありますが、このたびの予算編成では、三位一体の改革による大きな影響は生じなかったものの、その内容は、地方の裁量が大きく高まるものでなく、大変残念であります。本来この改革は、地方の創意工夫を凝らした個性豊かな地域づくりを可能とする、地方分権型の行財政システムの構築を目的としたものであります。この改革が地方の自立につながる改革となるよう、今後取り組みを一層強化してまいります。 国、地方を通じた現在の危機的な財政状況にあっては、地方交付税を初めとする県の歳入全体の伸びは期待できず、今後とも厳しい財政運営は避けられません。こうした中で、なかなか進まない国の改革を座して待つのではなく、地方が先んじてみずからできることに積極的に取り組んでいくことが必要であります。本県では、このたび策定した新行財政改革推進プログラムに基づき、施策の大胆な見直しやコスト縮減等を進め、国の動向にかかわらず、いかなる状況にあっても必要な行政サービスを提供していける体制を構築し、新たな行政課題や時代のニーズに的確に対応してまいりたいと考えております。 二点目の道州制についてでありますが、県民の皆さんが、日々、暮らしの中で身近な行政サービスを受け、みずからが住みよいまちづくりに参加できる地域的な広がりが市町村であり、これからの地域づくりの主役は、合併などにより力をつけた基礎的自治体と言われる市町村であります。また、国と地方といった対比をされる現行の都道府県は、市町村では対応できない広域的・専門的分野を受け持つとともに、戦略的なプロジェクトなど、地方の責任において取り組むべき事務・役割を担っております。国が県や市町村に対しさまざまな規制を行う中央集権的システムは、もはや破綻しつつあります。知事会を初め地方六団体が提言した三位一体の改革の理念にあるように、国は過剰な関与をやめ、権限と財源を移譲し、県や市町村がみずからの発展につながる特色のある取り組みができるようになることが、我が国の発展につながるものと考えております。 経済のグローバル化、IT化の進展、高速交通網の整備などにより、県民の活動のうち多くの部分が、県というエリアを超えた広がりを持つようになり、地方分権時代の中で県の役割を果たすには、現行の枠組みを見直す必要が生じてきております。現在、二十八次地方制度調査会においては、道州制の制度設計について審議が進められております。一方、私もメンバーである全国知事会道州制研究会においても、地方の実情を踏まえたシステムの検討を重ねており、国から提起されるのを待つのではなく、調査会などの動きを注視しながら、地方から国への働きかけを行っていくこととしております。目指すべき広域自治体の仕組みについては、広域連合、都道府県合併、道州制、連邦制などさまざまな意見が出されており、今後も議論が必要でありますが、新たな広域自治体が実現する時代は目前に迫っており、そのことが真の地方分権の確立であると認識しております。道州制に関する議論は、県民一人一人が情報を共有することが必要であり、県のあり方について、県民とオープンに語り合い、その実現に向けて努力することが、私の責務と考えております。 三点目でございますが、県民医療の充実についてでありますが、初めに、厚生連病院の改築については、厚生連病院は、各二次医療圏における中核的な医療機関として、また、災害発生時には災害拠点病院としての役割を担うこととなっており、県としても老朽化が進んでいる四病院の改築が急務であると考えております。このため、県、厚生連等が一体となり、鹿角組合総合病院等の改築を組み入れた経営改善計画の見直しについて、農水省と協議を重ねてまいりましたが、このたび、県や地元自治体の支援強化等を前提に、認められたところであります。これを受け、厚生連では、鹿角組合総合病院については二十一年春、湖東総合病院については二十三年春の開院を目指し、現在、建設計画の具体化に向けて取り組んでいるところであります。また、仙北組合総合病院については、用地の取得や建設資金の確保などの課題があり、できるだけ早くこれらの課題の解決に取りかかるよう働きかけてまいります。県としても、厚生連の建設計画の検討状況を踏まえながら、建設資金の借入金に対する損失補償と利子補給についての具体的な支援策を取りまとめたいと考えております。 次に、先端医療技術の活用についてでありますが、脳研とリハセンは、高度な専門医療を提供する三次医療機関であり、その役割は、最先端の高度医療技術の開発と、臨床への応用を通じて本県の医療レベルの向上を図ることであります。 このため、脳研は、脳血管疾患に関する研究に加え、PETやガンマナイフ等を活用した高度医療を提供してきたところであり、また、リハセンは、県内の医療機関等とのネットワークを強化し、一人一人の障害に応じたリハビリ医療により、患者の社会復帰を促進しております。健康長寿社会を目指す本県においては、高齢者の健康づくりを県民運動として展開していくこととしており、両病院においても、地域医療機関等との連携強化や県民への情報提供を通じて、これまでの研究成果を県民の健康増進に一層役立てていくことが重要であります。 こうした考えに立ち、脳研では、ガンの診断にも役立つPET検診の利用拡大を図るとともに、新たにパソコンや携帯電話で自分の健康状態を確認できる健康管理システムの実用化を目指すこととしております。また、リハセンにおいても、新たな介護予防プログラムの開発や地域リハビリ検診、パワーアップリハビリなどにより、高齢者の健康づくりや病気の予防に取り組んでまいります。今後も、両病院の持つ高度な医療機能を有効に活用し、発症予防や医学に基づくトレーニング手法の開発などに積極的に取り組み、県民の健康増進等に貢献したいと考えております。 四点目でございますが、農業問題についてであります。 初めに、地産地消の拡大については、地産地消を進めるねらいの一つは、地元でとれた新鮮で安全な農産物を地元で評価し、さまざまな工夫を凝らし、食すといった、いわゆる消費者と生産者が顔の見える関係を構築することであります。こうした考えから、地元食材を提供する農家レストランや農家民宿に対し、地産地消運動の一環として、事業展開に向けた経営指導、初期投資への助成、郷土料理の研修を実施するなど、きめ細かくサポートしてまいりました。現在、県内では、農家レストランが十八店舗営業しており、中には、みずから栽培したソバやモロヘイヤなどを使った特色のある料理を提供し、利用者から喜ばれている例も見られます。 こうした取り組みへの関心が高まり、新たに開業に意欲を示す農家もふえてきていることから、高齢者や女性の知恵とわざを生かした伝統食や、農業体験などの交流も取り入れるなど、地域資源を活用した魅力ある農家レストランの育成が図られるよう支援を強化してまいります。こうした食へのこだわりを通じて秋田のよさを実感していただくことが、地産地消の拡大とともに、海、山、里の恵みを提供する秋田型グリーン・ツーリズムの推進にもつながるものと考えております。 次に、担い手育成についてでありますが、現在の農業を取り巻く状況を見ると、将来にわたって安定的に営農を続けていくためには、国内外の産地間競争に打ち勝つ、効率的な経営を行うことが求められております。このことから、小規模農家や兼業農家は、集落営農などの組織経営体に参加するか、野菜や花卉などの収益性の高い経営に取り組むかを、判断する時期に来ていると考えております。 こうした認識のもとに、それぞれの地域においては、認定農業者と小規模農家とが役割分担を明確化しながら、農地の集積や水管理、さらには労働力の提供などを共同で行い、特色のある産地づくりを行う必要があります。県内でも、圃場整備などを契機として集落が一体となった法人を設立し、農地の一元管理を行いながら、収益性の高い経営を実践し、集落機能の発揮に努めている事例も出てきております。県では、野菜・花卉などを取り入れた集落営農を進めるため、地域振興局に設置した専門チームが中心となり、市町村、農協等と連携を図りながら、組織化に向けた合意形成や設備投資などを総合的に支援してまいります。 次に、食に関する課題についてでありますが、ライフスタイルの変化に伴い、食に対する意識や関心が薄れ、農業県である本県においても、若者や子供たちを中心に食生活の乱れや食の画一化が進んでいるほか、食と農の距離も広がってきており、改めて暮らしの基本である食のあり方を見詰め直す必要があります。 こうした現状を踏まえ、先般、イタリアの実態を調査してまいりましたが、地域の食材や食文化を守り育てる活動は、豊富な食資源を有する本県においても、今後の取り組みに生かしていくことができるものと実感いたしました。このため、スローフードの考え方を取り入れ、新たに食の国あきた推進チームを設置し、これまでの地産地消の取り組みに加え、食文化の伝承や食育の充実などを柱に、今後、秋田らしい食の推進運動を展開したいと考えております。 特に、食育の推進に当たっては、御飯を中心とする、栄養バランスのすぐれた日本型食生活の定着が重要な取り組みとなりますので、三千人の食育ボランティアの活動等を通じて、その普及に努めるとともに、学校給食においては、郷土料理や地場産品を使ったメニューの提供などにより、食と農に対する理解を深める場として生かしていきたいと思います。 また、米粉パンについては、現在、五市町の学校給食で導入され、子供たちの評判もよいことから、引き続き給食関係者への普及啓発に努めてまいります。 食生活が時代とともに大きく移り変わる中、こうした取り組みを、生産、消費一体となった県民運動として推進し、豊かな食生活の実現と自給率の向上に結びつけてまいります。 次に、秋田ブランドの流通販売対策についてでありますが、農産物の流通販売は、本来、生産者団体が担うものでありますが、産地間競争が単に生産者や農協間の競争から、地域の総力を挙げた競争の時代へと突入していることから、県としても、マーケティングや流通販売対策に本腰を入れ、産地をサポートしております。現在、県では、野菜等の青果物を中心に、重点品目を絞り込み、資金や技術面で産地づくりを集中的に支援しており、アスパラガスやネギ、菌床シイタケなど、全国に肩を並べる産地も育ってきております。幸い、量販店や卸売市場からは、総じて品質はよいと評価されていますが、ばらつきや鮮度に難があるといった指摘も受けており、今後、他県産を凌駕していくには、県産品の差別化、付加価値化を図り、強力にアピールしていく必要があります。 来年度から実施するあきたブランド認証制度は、まさに、こうした状況に対処するため、本県独自の販売戦略であり、青果物の振興を一歩も二歩も前進させるための流通面からのチャレンジであります。新たな制度では、特別栽培農産物を含め、野菜の主力品目や地域特産物まで、県産の魅力を余すことなく認証することとしており、消費者や流通関係者にとっては、安心と満足のあかしとなり、商品選択のよりどころとして、販路拡大に寄与するものと考えております。 なお、外食産業との取引については、現在、キャベツや山の芋等で行われていますが、業務・加工用の需要は、引き続き増大すると見込まれますので、中食・外食産業との契約栽培、契約取引の拡大に向け、県としても積極的に調整に努めてまいりたいと思います。 六点目の「秋田県民歌」の啓発普及についてでありますが、先日開催された県芸術選奨の表彰式において、「秋田県民歌」を大曲室内合奏団の伴奏により、参会者の皆さんとともに斉唱する機会に恵まれましたが、改めて、秋田の自然の美しさや、歴史・風土をたたえた県民歌に深い感銘を受けたところであります。県では、この県民歌を郷土の誇りであるとともに、県民共有の文化財産としてとらえ、県が主催する式典などで斉唱する機会を設けてきております。また、庁内においても、朝には「県民の歌」を、退庁時には「秋田県民歌」のメロディを流しているほか、美の国あきたネットのトップページへの掲載などによりその普及を図っております。県としては、今後、県の広報番組で適宜活用するとともに、県民が参加する行事で斉唱する機会をふやすなど、このすばらしい県民歌が県民の愛唱歌として親しまれるよう、より一層その普及に努めてまいりたいと思います。 私からは、以上でございます。   [農林水産部長(竹村達三君)登壇] ◎農林水産部長(竹村達三君) 農業問題についてお答えいたします。 まず、堆肥を活用した農業生産についてでありますが、消費者が求める安全・安心で高品質な農産物を生産するためには土づくりが基本であり、良質な堆肥を生産する堆肥センターは、その重要な役割を担っております。特に、鹿角市のトマトやキュウリ、平鹿町のホウレンソウなどの産地では、良質な堆肥を用いて付加価値の高い農産物の生産に取り組んでおり、市場や消費者から評価を得ております。現在、堆肥センター全体の稼働率は八割程度ですが、地域によっては需給のバランスがとれていないところもあることから、堆肥利用者が必要な時期に必要な量を確保できるよう、来年度からインターネット上に堆肥需給ネットワークシステムを立ち上げ、センターと利用者との広域的な流通を促すことにいたしております。また、本県の堆肥投入量は適正量の四割程度にとどまっておりますので、堆肥による土づくりをさらに進め、安全・安心で高品質な農産物の生産拡大に努めてまいります。 次に、無人ヘリコプターについてでありますが、無人ヘリは、水田農業の低コスト化や担い手の育成に大きな効果が期待されることから、国の補助事業や県の夢プラン応援事業により、その導入に助成してきたところであり、今後とも積極的にサポートしてまいります。オペレーターの資格取得については、農業近代化資金などの制度資金で融資対象とされているほか、新たな米政策の一環として創設された産地づくり交付金の中で、担い手への支援策として、地域が独自に助成することが可能であります。こうした制度を有効に活用し、それぞれの地域で、効率的な防除や、水田農業を担う人材の育成に取り組んでいただきたいと考えております。 以上であります。   [教育長(小野寺清君)登壇] ◎教育長(小野寺清君) 小田嶋議員から御質問のありました教育問題五点についてお答えいたします。 一点目の小中一貫教育についてでありますが、このことについて、全国的には、研究開発校や、いわゆる教育特区で取り組まれております。小中一環教育の本格的な導入は法の改正を待たなければなりませんが、小・中学校が密接に連携し、教育の活性化を図ることの重要性については県教育委員会としても十分認識しており、これまでもさまざまな取り組みや支援を行ってまいりました。 例えば、文部科学省の指定を活用して小・中連携の実践研究に県内五地域で取り組んできましたが、この研究を通して双方の教員が交流して授業を行うことや小・中学生が早い時期から体験学習等で交流することの効果が明らかになってきております。この成果を受け、積極的に小・中学校の教員の人事交流を進めておりますし、学習交流の実践例を県内の各学校に紹介しております。このような県教育委員会によるソフト面の動きの中で、小・中連携をハード面から具体化するものとして、今年度、能代市立常盤小学校と常盤中学校が小・中併設校として新築されました。この学校では、九年間を見通した教育目標を掲げ、中学校教員がティーム・ティーチングで小学校の授業に本格的に参加しており、学力向上等の面で大きな効果が見られております。小規模校が多い本県にあって、小学校や中学校同士の統合以外に、小・中学校を併設して学校を活性化させるこの手法は、大変有効なものとして注目しております。 現在、同様の構想を持つ市町村や、さらに高等学校も隣接させて連携を図るといったダイナミックな形態を検討する市町村も見られることから、県教育委員会といたしましては、県立の中高一貫教育校とともに、県全体として学校教育の多様化が活性化につながるよう、今後とも市町村教育委員会への情報提供や学校の指導に努めてまいります。 二点目の三位一体改革による影響についてでありますが、昨年の十一月に、政府与党の合意により、平成十八年度までの三位一体改革の全体像が示されました。義務教育制度については、平成十七年秋までに中央教育審議会において結論を得るとされておりますので、その動向を注視しているところであります。なお、義務教育費国庫負担金は、平成十七年度に暫定措置として四千二百五十億円程度を減額するとされておりますが、その減額分の財源については、税源移譲予定特例交付金により措置されることとなっておりますので、本県に大きな影響はないものと考えております。 また、総額裁量制について、これまでは国が、教諭、事務職員、栄養職員といった職種ごとの定数枠を定めておりましたが、県の裁量により職種の枠を超えて、教職員を配置できるようになりました。今年度は、制度導入の年であり、本制度を十分に活用することはできませんでしたが、来年度以降は、各学校の教育課題に対応する教職員配置を一層進め、学習指導や生徒指導等の充実を図ってまいります。 三点目の小・中学校の人事についてでありますが、県費負担教職員の任命権は、都道府県教育委員会に属することとなっております。しかし、本県では、県教育委員会が一方的に任命権を行使するのではなく、市町村が地域に根差した特色ある学校づくりに取り組めるよう、これまでも市町村教育委員会と事前に十分な協議を重ね、最終的には市町村教育委員会からの内申を待って行っているところであります。 また、市町村合併が急速に進むことを機に、市町村教育委員会の体制の整備充実が一層図られることを踏まえ、ティーム・ティーチングのための加配教員配置校の決定を市町村にゆだねることや、市町村内の人事については、その主体的判断を尊重すること、県は教員の資質向上及び学校教育の活性化の観点から、広域にわたる人事の交流を行っていくことなどを、あきた教育新時代創成プログラムにおいて、県と市町村の役割分担の見直しとして提示しております。このことにより、一層市町村の独自性を生かした、活力にあふれる学校づくりが進むものと期待しているところであります。 今後も、教職員配置のあり方については、市町村教育委員会の体制整備の状況を見守りつつ、県と市町村の役割分担のあり方など地方分権の進捗状況を見きわめ、慎重に対応していく必要があると考えております。 四点目の教職員の退職補充についてでありますが、県教育委員会では、少子化による今後十年間続く教員定数の急激な減少と、約二十年後をピークとする退職者の増加への対応策を講じてまいりました。年齢構成のアンバランスを解消するため、創成プログラムの策定に先立ち、平成十五年、十六年度の二年間の時限措置として、早期退職優遇制度を導入いたしました。この間、若年退職者が例年よりも約百二十人増加しましたが、新採用でその退職補充をしたことにより、年齢構成上突出した部分が若干減少し、緩やかに平準化が進んできております。 プログラムでは、採用試験の受験年齢を三十歳までに引き下げ、二十歳代の増加を図る計画であります。さらに、他県教員等を採用する特別枠も設けてあり、急激な変化を緩和する措置を講じております。小・中学校の退職教員数は、二十年後に最も多く、三百人程度になりますが、少子化に伴う教員定数の自然減と、それまでの若年退職者数を勘案すれば、必要な採用数はその半数程度になるものと見込んでおります。 今後の教員採用に当たっては、教員志望インターンシップなど、教員養成段階から大学と連携し、学生の意欲や資質の向上を図り、意欲のある優秀な人材を確保しながら、他県への流出も防いでまいります。 また、文部科学省は、昭和六十一年度から教員養成系学部の入学定員を抑制してきましたが、その制度を改正する方針を打ち出しております。これからの時代の変化を見ながら、将来、深刻な教員不足という事態にならないよう、引き続き慎重に対応してまいります。 次に、五点目の学校週五日制についてでありますが、県教育委員会では、この学校週五日制が導入された平成四年度から、学校、家庭、地域社会の三者がそれぞれの教育機能を十分発揮できるよう体制整備に努めてきたほか、学校と地域が一体となって子供を育てるための事業を実施してまいりました。平成十一年度から実施したふるさと子どもドリーム事業では、多くの学校で地域の方々が子供たちと一緒に活動し、学校と地域が連携した体制づくりを図ってきたほか、地域で育てる体験活動推進事業や自学自習支援事業などの実施により、子供たちに多くの選択肢を用意し、主体的に考え、行動する力の育成に努めてまいりました。さらに、今年度より二十三市町村で国際理解チャレンジクラブを開催し、延べ一万人以上の子供たちと保護者が英語や異文化に親しみ、地域の外国人との交流や、親子のコミュニケーションが大いに深まったという成果が報告されております。 また、学校週五日制により、子供が家庭や地域で過ごす時間がふえたことから、親の役割がこれまで以上に求められており、親に対して、しつけや家庭教育のあり方について学ぶ機会を提供する家庭教育事業も継続して実施しております。 こうした取り組みにより、今年度の調査によれば、部活動やボランティア活動への参加や、家庭や塾での学習時間、家の手伝いや家族との団らんの時間が増加し、学校週五日制が社会に定着しつつあるものと考えておりますが、一方で、目的もなく土日を過ごしている子供たちも一割を超えていることから、こうした課題への取り組みが必要であると考えております。 また、家庭の教育力の低下も指摘されており、子供たちの状況に応じて、これまで以上に学校と家庭、地域が互いに支援し合いながら、土曜日の有効活用を図ることが必要であると考え、来年度より、学校と地域が一体となったほっとエリア運動を実施して、地域の子供は地域で育て守るという気運を一層高める施策を展開してまいります。 いずれにしましても、学校、家庭、地域社会が一層連携を密にしながら、学校週五日制のねらいであります子供たちの豊かな人間性や生きる力の育成に努めてまいりたいと考えております。 以上であります。 ○副議長(穂積志君) 二十二番小田嶋君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。 △午後二時六分休憩 --------------------------------------- △午後二時二十分再開    出席議員    四十四名    一番  淡路定明     二番  田口 聡    三番  山内梅良     四番  三浦英一    五番  こだま祥子    六番  渡部英治    七番  門脇光浩     八番  平山晴彦    九番  柴田正敏     十番  鈴木洋一   十一番  加成義臣    十二番  渋谷正敏   十三番  川口 一    十四番  瀬田川栄一   十五番  中田 潤    十六番  杉江宗祐   十七番  京野公子    十八番  大関 衛   十九番  小田美恵子   二十番  武田英文  二十一番  宮腰 誠   二十二番  小田嶋伝一  二十三番  木村友勝   二十四番  加藤義康  二十五番  安藤 豊   二十六番  土谷勝悦  二十七番  金谷信栄   二十八番  鶴田有司  二十九番  冨樫博之    三十番  原 盛一  三十一番  石田 寛   三十三番  菅原 昇  三十四番  菅原龍典   三十五番  穂積 志  三十六番  大野忠右エ門 三十八番  中泉松之助  三十九番  津谷永光    四十番  安杖正義  四十一番  佐々木長秀  四十二番  佐藤次男  四十三番  工藤嘉左衛門 四十四番  長谷部 誠  四十七番  辻 久男   四十八番  北林照助---------------------------------------          地方自治法第百二十一条による出席者   休憩前に同じ--------------------------------------- ○議長(鈴木洋一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 日程第一、一般質問を継続いたします。一番淡路定明君の一般質問を許可することにして御異議ありませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり] ○議長(鈴木洋一君) 御異議ないものと認めます。一番淡路君の発言を許します。   [一番(淡路定明君)登壇](拍手) ◆一番(淡路定明君) まず、冒頭に、こうして登壇できますのも、本当に日ごろより御支援をいただいております多くの方々のおかげと、まず感謝を申し上げまして、本定例会最後の一般質問になりますが、緊張感を持って臨みたいと思います。よろしくお願いいたします。 まず、十二月定例会におきまして、皆様より議決いただきました海外調査の概要について報告をさせていただきます。 現在、FTA自由貿易協定の交渉により、我が国へのフィリピン人看護師・介護士の受け入れ方針がほぼ決定され、本年度末、もしくは来年度当初には、実際の動きが予定されると聞いております。また、タイよりは、マッサージ師等の受け入れを我が国政府が提案する方針と伝えられています。こうした状況を踏まえ、本年一月六日より二十一日までの十六日間、労働者の派遣供給国であるフィリピン共和国、タイ王国、そして、受け入れ経験国であるシンガポール共和国、台湾を訪問し、その社会背景や現状認識を深めることにより、本県における定住外国人に関する各種施策構築に資することとしたいとの主要命題を設定し、四カ国において調査を実施してまいりました。 複数の高齢者介護施設、看護師・介護士養成機関である専門学校などを訪問し、人材養成の現状を実地見聞するとともに、経営者の方々はもとより、介護施設入所者や学生の方々とじかに懇談を重ね、また、この分野以外の企業経営者の方々との懇談も数多く重ねてまいりました。また、他自治体の海外事務所を訪問し、海外での活動と今後の事業展開についての御意見を伺ってまいりました。 台湾においては、台北市立の小学校を訪問し、幼児期からの英語教育の取り組み状況について、実際の担当教師の方々との意見交換を行ってまいりました。今後、詳細は報告書にてまとめることとしますが、今回の私の質問の骨子は、海外調査において感じたこと、得たことに大きく影響をされていることを申し添え、質問に入ってまいります。 それでは、通告に従って質問をいたします。 さて、今定例会知事説明において、今後の県政の具体的な施策を進めるに当たっての課題として、人口減少社会への対応と、グローバル社会への対応の二点が極めて重要である、そして、それに対応するかぎは人づくりにあると考えを示されました。今後の県政運営にも意欲を示されている寺田知事の政策立案、施策選択の基本姿勢がここに凝縮されているとの認識をするものであり、この二点について質問をさせていただきます。 まずは、グローバル社会への対応に関する項目について質問をします。 ここでの一点目は、(一)として、知事の基本姿勢について伺います。知事説明において、グローバル社会への戦略的な対応が重要であり、変化を新たなビジネスチャンスと位置づけ、積極果敢に取り組んでいくと述べられています。そして、海外を舞台に活躍できる人材の育成が重要であり、育成された人材が将来の秋田に活力をもたらすと結ばれています。知事が、さまざまな場面においても言われていることであります。まさに、そのとおりと思います。 しかし、冷静にこのフレーズをかみしめたとき、消化不良の感を覚えるのは、私だけでしょうか。受動的、抽象的な現状認識、精神論的な標語の域にとどまり、具体的目標設定が示されていない、戦略的な対応が人材の育成のみに帰結する感を受けるのです。 近年、国政選挙、首長選挙において、マニフェスト、ローカルマニフェストの必要性が言われるようになっています。これまでの公約で言われている抽象的キャッチフレーズではなく、冷静な現状認識、現状分析による具体的な目標設定、それを達成するための政策立案、施策推進方策の提示が重要と言われてきているのです。 昨年十二月定例会において、秋田県工業振興アクションプラン(案)が示されました。そこでは、まさにマニフェスト的論法と構成が用いられており、私には、新鮮さが感じられました。県行政においても、こうした明快な手法を用いている例があるわけですから、知事の理念、選択を語るにおいても、そうした論法を用いるべきと考えますが、いかがでしょうか。 知事がこれまでの任期二期八年において選択した国際化によって、この秋田県は何を得ることができると考えているのか、また、どう変わることができるとお考えか、具体的な目標像を示していただきたい、また、示す責任があると考えます。御見解を伺うものです。 次に、二点目として、大きなかぎ、重要な柱と主張されている人材育成と活用に関連した項目について質問をします。 まず①として、県職員の育成と活用について伺います。 近年県職員で、在外日本大使館を初め在外公共機関、JICA専門家、青年海外協力隊へ派遣される件数がふえてきております。本年二月現在、教職員を除いても、八名の県職員の方々が、長期海外派遣されているようです。人材育成という観点においても、実践的で非常に評価すべきことと考えます。特に、農業土木職の分野においては、平成五年以来現在まで、JICA専門家としての派遣が継続的に取り組まれております。他の自治体においては、財政が厳しくなるとき、他団体、特に、海外への職員派遣が縮小廃止傾向に向かう中にあって、人づくりの重要性を打ち出している知事の基本姿勢と合致する施策展開と理解するものです。しかし、短期的にも、中・長期的にも戦略性が見えない、見えてこないと指摘をさせていただきます。人材育成とその蓄積がたまたまではなく、意図的に、そして、その活用が体系的にあるべきと考えるのです。御見解を伺います。 ②として、国際協力事業の委託について伺います。 平成七年一月二十三日、秋田魁新聞朝刊に、「秋田にPKO訓練所を」との見出しで、当時の旧ユーゴ担当国連事務総長特別代表の明石氏の会見談が掲載されました。当時の国際情勢から、PKO国際平和維持活動の必要性を、そして、特に文民活動の場合、国々によって異なる共通認識を固めるために、世界規模で地域ごとの訓練センターを設置する必要性があるとの考えを示されたのでした。そして、ぜひ郷里秋田が誘致に名乗りを上げてほしい、秋田自身の国際県としての発展の起爆剤になるだろうと述べられていました。当時、本県において、注目された反応が皆無であったと記憶していますが、国際的に必要とされる役割を担うことによって地域に波及効果を誘導する方策があることを示唆された一例として、十年が経過した今でも、私の印象に強く残っております。秋田県が国際的に必要性のある役割を担いつつ、地域への波及効果を生み出す、前項で取り上げた蓄積された人的資源の活用方策と相まって、注目すべきことと考えるものです。 秋田県の国際戦略の中で、国際教養大学の重要性のみが突出して語られていますが、県内には有効に活用でき得る多くの既存の研究機関や高等教育機関があると、私は認識します。あきた21総合計画基本構想の中、「秋田の可能性・世界に発信する産業」の項においても、脳血管研究センターや、その他研究施設、秋田大学、県立大学などを挙げ、その研究能力の高さをうたっておるではないですか。農業試験場、果樹試験場などもあります。また、小坂町には、財団法人の国際資源大学校もあります。国際協力機構や国際協力銀行など、我が国の政府開発援助ODAを担ってきた各機関において、民間・地方提案による事業を公募する現状にもなっています。県内の研究機関、高等教育機関を一体的、体系的に活用し、国際的な技術教育、人材育成の役割を担うとするなど、ODAの国内における受け皿としての事業委託、または、事業連携を構想できると考えますし、それが、県内各種団体の育成の活用、または経済への有効性を創出する一つの手段にもなり得ると考えます。いかがでしょうか、御見解を伺います。 次に、③として、県立大学のあり方について伺います。 本県の地域産業や人材を育成する重要な資源であるとともに、国際的な役割を担うことのできる素材であるとも認識をします。ゆえに、平成十八年度目途の独立行政法人化、短期大学部を生物資源学部の一学科とする準備が始まる、今この機会に、県立大学の目指すべき方向性をもう一度整理し直す必要を指摘するものです。 昨年、商工労働委員会で宮崎県木材利用技術センターを視察しました。地域企業との連携の強さ、産業創出への強烈な意気込みを感じさせられました。本県にも同様施設、木材高度加工研究所があります。しかし、県立大学の附属機関という性質上、学術研究の比重が高く、地元企業の支援、連携の面で不満があるとの指摘を少なからず聞く現状を対比するとき、有効性が十分機能していない現状を痛感させられました。これはほんの一例ですが、その他の分野においても同様の指摘をされる部分があるのではないでしょうか。 県立大学においては、研究、教育、地域貢献を三本の柱としていますが、本県の財政規模や地域状況を勘案するとき、教育と地域貢献に比重を特化した方向性が等身大であり、より有効な活用がなされると考えます。例えば、県立大学の持つ講座の可能なものについては、日本技術者教育認定機構JABEEの認定を受け、学部卒業生は習得技術者となれる仕組みを整理し、積極的に宣伝することもいいのではないでしょうか。また、JABEEの対象とならない講座では、選択科目の中に技術士の一次試験受験のための科目を設定することも有効な選択と考えるものですが、いかがでしょうか。 学生教育の目標を、研究者よりも、工業、農業などの産業技術者の育成に明確化することが、二〇〇七年、もうすぐ到来すると言われる大学全入時代を目前にした県立大学自体の競争力の強化にもなり、地域としてのより効果的な活用につながると考えますが、いかがでしょうか、御見解を伺います。 次に、④として、海外事務所の活用と委託駐在員制度の創設について伺います。 円高の進行が進み、欧米よりの市場開放要求が顕著に言われ出した十年ほど前より、多くの自治体が経済交流、観光の振興を主な目的とし、海外事務所を設置してきました。しかし、近年、財政状況の悪化を理由に、海外事務所を真っ先に閉鎖している現状があることも事実です。これは、海外事務所の活動が具体的な成果としてあらわれてこなかったことや、設置経費に見合うだけの十分な活用がなされていなかったことの検証ゆえと推察します。 本県においては、北海道、青森県及び岩手県とともに、平成十四年十一月にソウルに、平成十五年十一月にはシンガポールに、共同事務所を開設しました。他県が撤退、縮小傾向にある中、知事の国際化選択の方針に沿った積極果敢な事業展開の一つと言えるのでしょう。が、その設置目的や効果がいまだ明確に見えてこないと感じるのは、私だけでしょうか。 一般的に自治体の海外事務所においては、現地職員を採用しているものの、マネジメントを担当する職員は、各自治体からの派遣が普通となっています。本県の共同事務所においても同様です。しかし、それぞれの国、地域の社会事情や制度を十分に把握し、目的とする業務において成果を上げるだけの人材をあらかじめ持っている自治体は、現段階においてはほとんどないでしょう。独自に育成するには、相当の期間と経費が必要となります。この辺をしっかりと認識をし、今後、本県海外事務所の事業展開においては、それぞれの地域において実践経験を持つ人材を、事業成果を上げることを第一義とした契約ベースで採用することなども検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。 また、特にシンガポール事務所は、シンガポールだけでなく、東アジア周辺を守備範囲とすると言っています。しかし、実際には、事務所を持たない地域、国においては、活動の範囲や把握が不十分になることは否めないでしょう。そうしたことを踏まえ、委託駐在員及び名誉駐在員制度などを創設し、現地企業・経済人の掘り起こしを図ることにより、秋田県との連携、友好関係の構築を広範囲に行うべきと考えますが、いかがでしょうか、御見解を伺います。 次に、幼児期からの英語教育とIT教育に関して注目をいたしました。この項目については、国際化と人材育成が語られるさまざまな場面において、盛んに引用されてきております。平成十五年三月に策定された秋田ドリームチャレンジプランにおいて大きな柱と位置づけられ、昨年十二月定例会において話題になった、あきた教育新時代創成プログラムの中においても、これからの時代を生き抜くため、英語とコンピューターが使える秋田の子供の育成に向けて戦略的な取り組みを行っていると強調されています。 しかし、私には、キャッチコピーが飛び交っているばかりで、教育としての本質的ビジョンが見えてこないのです。いかがでしょうか。 そこで、まず⑤として、英語教育に関し、二つの点について伺います。 一点目は、基本認識についてです。英語を話すことが目的化しているような論調を危惧するものです。英語コンプレックスから抜け切れない日本人を私は感じるのですが、いかがでしょうか。知事説明でも述べられている国際感覚豊かで、世界を舞台に活躍できる人材を育てるということを目的とするのであれば、外国語はその達成のためのほんの一つの道具であり、本質的に訓練されなければならない項目、要素はほかにもあると、私は認識します。この辺の認識を、まず伺いたいと思います。 二点目は、その効果と弊害について伺います。幼児期の英語教育を推進してきている先進的な国々、例えばシンガポールや台湾などにおいて、賛否両論の検証がなされている現状があることを御存じでしょうか。流暢に話す、発音が正確になるとの反面、幼児が学べる語彙が極めて限られているため、浅い知識しか学習できないという後遺症を残すとの専門家の指摘もあります。また、言葉は民族の体質的リズムであり、文化的要素を崩すなどの指摘もされているようです。 さて、本県においては、幼児期からの英語教育について、その効果と弊害についてどのように検討がなされ、この方針が打ち出されたものか伺いたいと思います。 さて、次は、⑥として、IT教育に関して、その効果と弊害について伺います。 パソコンの利用、ITの活用は、避けて通れない必須のものとなっていることを、私も認識するものです。しかし、英語教育と同様、デジタル環境を十分認識しての議論がなされた上の選択なのか、疑問を抱くものです。ワープロが一例です。フレーズの切り張り、簡単に文字を消すことができ、また、復活する。こうしたことの幼児期からのなれが、考え方や性格の形成にも大きな影響を及ぼすのであると指摘する専門家もいますし、私自身に置きかえても、まさしくそうだと危惧するものです。ITにしても、辞書を一ページずつひもとくのと、ウェブ検索するのとでは、その知識集積の感覚が全く違うように実感するものです。低年齢時からデジタルの世界と触れ合うことの効果と弊害についてどのような検討がなされてきているのか伺いたいと思います。 次は、(三)として、外国人が暮らしやすいまちづくり事業について伺います。 昨年、県議会国際交流議員連盟で、辻会長の御指導をいただきながら、県の担当課の方々とともに、十文字町、横手市を視察し、日本語教室のボランティアの方々及び県地域国際化アドバイザーの方々と懇談する機会をいただきました。その折、外国人花嫁に関し、特にブローカーが介在した中国出身者との結婚におけるトラブル-実際、一昨年十二月にはこうした問題が起因で、県北地域において殺人事件に及んだ事例が発生していること、事件化しないまでも、類似のケースが少なくないこと、そして、それが地域問題化しつつあるとの指摘がなされました。 また、日本語教室のボランティアが人生相談の受け皿を担わなければならない現状、小・中学校における日本語教授法の経験不足による混乱、県地域国際化アドバイザーの役割についての不明確さ、活動の限界等についても、みずからの体験談としてお話をいただきました。 こうした御意見を受け、新年度予算においては、しっかりとした対応が当然とられるものと思い込んでおりましたが、日本語教育指導者研修事業が新規に追加されたのみで、肝心な部分についての対応がなされていないように見受けられます。こうした関係の問題は、プライベートの領域が大きいですし、自己責任の部分が大きいことも確かです。しかし、民生の視点から、納税者への行政サービスの領域もあるし、自己責任と公の責任とが混在する部分もあることを見逃してはならないと考えます。 冒頭に述べたように、FTA交渉を経て、我が国は今、労働開国へ踏み出すことを鮮明にしつつあります。こうした外国人労働者の定住化が方向づけられようとする動きを見るとき、また、本県の外国人とのかかわり状況を見るとき、ますます混乱が広がり、深刻さが顕著になると、危惧を痛烈に感ずるものです。早急に、定住外国人を受け入れる地域社会の基本認識と体制の整理を県が責任を持って行う必要を感じるのですが、いかがでしょうか、御見解を伺います。 次は、(四)として、韓国国際定期便利用促進事業について伺います。 新年度予算を見るとき、この事業に関して約一億四千三百万円が計上されていますが、その項目の多さに注目させられました。細々と、あの手この手を実感させられます。何とか韓国との交流を喚起しようとの思いを感じるものですが、しかし、韓国の人口、経済規模を冷静に考察したとき、世界経済の中においてのマーケットの魅力は限定的と判断されます。 あわせて、国際定期便就航の当初の大きな目的として、世界市場への窓口としての役割が、本県と欧米やASEAN諸国を結ぶ結節点ハブとしての利用価値が説明されていたと記憶するものです。新年度予算において、そうした波及的地域との連携が語られていないように思われます。結節点-ハブとしての利用価値を高める施策展開が必要と考えるものですが、いかがでしょうか、御見解を伺います。 (五)として、港湾の整備、利用に関して、二つの項目について質問をいたします。 まず、一点目は、国土交通省において、本県の三つの港、秋田、船川、能代が、新年度以降、埠頭の建設など新規事業を最低三年間は行わないとする利用促進重点港湾に分類されることが、今月中にも正式決定されると伝えられています。東北に十四ある重要港湾のうち、青森、八戸、釜石、石巻、相馬、そして、小名浜の六つの港は、新規事業が認められる高度利用推進港湾に分類される方針と聞きます。秋田港における国際コンテナの取扱量の好調さが言われ、世界的経済交流のために重要な施設であると多くの場面で引用される中にあって、どうしてこのような扱いになったのでしょうか。威勢のいいかけ声と実際の間には差異があるのでしょうか。この結果をどのように検証されているのか伺うものです。 二点目は、地域間連携と役割分担について伺います。 古くは、北東銀河プラン以来、さまざまな場面において、港湾、空港の広域的な連携と活用の必要性が言われてきました。昨年九月にまとめられた「北東北のグランドデザイン(中間報告)」においても、北東北三県の空港や港湾のより効果的、効率的な活用が必要との認識が示されています。しかし、常に総論的な段階にとどまり、具体的な議論には踏み込まれずに現在に至っていると指摘せざるを得ません。それが、今回の港湾整備分類の結果にもあらわれているように感じるのですが、いかがでしょうか。今後、早急に具体的な調整に踏み込むべきと考えますが、御見解を伺うものです。 さて、次は、大きな柱の二点目、人口減少社会への対応について、的を絞って、子育て対策と行財政改革について質問をしてまいります。 まずは、子育て対策についてです。 「幾ら少子化対策を行ったところで、将来の日本の人口減少は避けられない。だとすれば、少子化対策と並行して、将来の人口規模を想定した国づくり、地域づくりが必要ではないか。社会保障、労働力確保の問題、少子化に伴う過疎化の問題など議論すべきことはたくさんある。目先の「産めよふやせよ」的発想ばかりではなく、何十年後かに現在よりも人口規模は縮小しているものの、生活しやすい安定した国、地域になっていることを示す、これもまた、現在の少子化問題を考える上で重要なことと思う」。これは、議会事務局でまとめている政務調査リポートからの引用です。日ごろ、私の思っていることを代弁する文章で、非常にいい仕事をしていると思うので、ここで引用させてもらいました。行政は、このように冷静、明快に言い切ることが必要ではないですか。そのように思います。 さて、そこで(一)として、子育てに係る経済的支援策の見直しについて伺います。 昨年十二月定例会において原案が示され、見直し案が本定例会に示されました。この中の各種施策の中でまず注目したのが、新規事業として提案されている乳児の養育に対する支援についてです。ゼロ歳児の対象者に月一万円を支給するとの施策です。率直に言って、これはばらまき施策ではないですか。少子化問題を近視眼的にとらえた顕著な例と考えるのですが、いかがでしょうか、御見解を伺うものです。 次は、県と市町村の関係、効果的な施策展開について伺います。 平成十五年度当初予算で打ち出された子育て支援事業第一子のゼロ歳児の保育料を県と市町村が半分ずつ負担して完全に無料化にするとの制度でした。この制度の創設に当たって、市町村の担当者への説明が、新年度目前の三月であったことや、市町村においては、出産祝い金、入学祝い金などの独自の子育て支援制度を持っているところもあり、財源確保の視点からも、相当の混乱があったように聞いています。また、秋田市においては、保育所の待機児童解消が第一義的な課題とされていました。率直に言って、迷惑な制度創設であったと、私は今でも思っています。 これはほんの一例ですが、ほかにも、県の提案する施策、事業が市町村の地域事情に十分マッチしていないものもあるように見受けます。県の政策決定過程や意図が市町村に十分理解されないための混乱もあると思うのですが、いかがでしょうか。 ここは、潔く、県単事業などの中でできるものは、極力、財源も含めて市町村に移譲していく方向、交付金的な発想の選択を模索すべきと考えます。そうすることが、地域事情に合った効果的な制度創設、事業展開に結びつくと思うのですが、いかがでしょうか、御見解を伺います。 次は、(二)として、新行財政改革についてです。 まず、①として、行政機構の現状認識について伺います。 これまでも多くの場面で行財政改革が語られるとき、民間との協働や活用が言われ、公共施設の管理運営や事務事業の民間委託方針が声高にされてきました。今般提示された新行財政改革プログラムにおいてもそうです。しかし、その原因となっている行政機構の現状について、だれもが明快に潔く語っていないように、私には感じられます。改革が必要とされる大もとは、行政の高コスト化、公務員の高コスト化、分野においては、仕事内容に比べ給料が高くなってしまったことだと明確に言い切る、そして、高コストのドラスティックな是正が、短期的には現実として困難であると認めることが必要と考えます。そうした現状を率直に認めるところから、行政はより密度の濃い、また、質の高い業務に特化する必要があるとの対応策が見えてくるし、今後の行政の役割や公務員の仕事内容、求めるべき人材の質が明らかになってくるものと考えますし、広範囲な県民の理解が得られるものと考えます。御見解を伺います。 さて、次に②として、新行財政改革プログラムの中の項で取り上げられている第三セクターの整理・統合、合理化の推進について注目をしました。プログラムで示されている経営面からの効率化、責任の明確化については、理解をするものです。が、しかし、活動面からの効率化、有効性の確保についても、さきの項で取り上げた人材の育成と活用と連動しつつ、検討されるべきと考えます。特に、国際交流や男女共同参画、またはNPO支援など、専門性の高い分野、特に、ソフトの活用、市民活動との連携が主となるような分野においては、技術移転促進チームや産業振興機構で採用しているコーディネーターのような、当該分野に詳しい人材、長年の経験を有する人材を外部から積極的に登用することが、事業効果を上げることにつながると考えます。職員の派遣を順次縮小し、その自立性を強めることが、目的とする事業達成には有効となる分野、組織機構があるように思うのですが、いかがでしょうか、御見解を伺うものです。 さて、最後に、今定例会をもって新たな場面に挑戦される先輩議員の皆様がおいでになるようです。後輩議員の一人として、また、県民の一人として、県議会におけるこれまでの御活躍と御苦労に感謝を申し上げます。あわせて、今後の御活躍を祈念をいたします。 また、三月末をもって退職されます県職員の皆様、これまでの御精勤に心より敬意をあらわしたいと思います。今後の新しい生活の場においても、充実された時間を持たれることを祈念し、また、私どもの活躍を、ぜひとも監視し、激励していただければありがたいと思います。 以上をもって私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(鈴木洋一君) 県当局の答弁を求めます。   [知事(寺田典城君)登壇] ◎知事(寺田典城君) 淡路議員の御質問にお答えいたします。 最初に、グローバル化社会への対応についてでありますが、初めに、その基本姿勢については、地球規模で人、物、金、情報が行き交うグローバル社会では、インターネットを中心とした情報化の進展とも相まって、秋田にいながらにして広く世界と交流し、一瞬にして世界の動きをとらえることが可能となります。こうした中で、本県の未来を切り開いていくためには、グローバル化に対応できる実践力のある人材の育成が何よりも大切と考え、国際教養大学の設置はもとより、子供のころから英語に親しめる環境づくりや高校生の海外派遣などを行っております。このような取り組みにより、国内外のあらゆる分野で活躍することができる人材が多く育成されるとともに、これらの人材が世界の人々と広く交流していく中で、国際的なネットワークも築かれます。こうした姿は具体的な数値目標として設定できるものではありませんが、将来、本県においても、県内の豊かな資源や技術を生かして、貿易や海外進出に取り組む企業の中核を担う人材となっていくことが期待されます。また、企業や生産者が、みずからさまざまな情報をネットワークを通じて得ることができ、これを分析しながら、マーケティング活動を行い、豊富な県内の農産物や木材資源を利用・加工した海外取引を行うことにも大きな弾みがつきます。さらに、国際性を身につけた若者が、ベンチャービジネス等に取り組み、県内経済の新たな牽引役として活躍することも期待されます。加えて、諸外国との多様な交流や地域における国際理解の推進などを通じて、国際色豊かな異文化交流空間も形成されます。 このように、グローバル社会では、ビジネスを中心としてさまざまなチャンスが広がり、本県に大きな活力をもたらしますので、こうした人材の育成に今後とも積極的に取り組み、個性的で活力のある秋田を創造してまいりたいと考えております。 次に、人材の育成と活用についてでありますが、まず県職員の育成と活用については、今後のグローバル化社会を展望したとき、県政のあらゆる分野において国際感覚を生かした政策形成を行うことが不可欠になると考えております。このため、コミュニケーション能力や異文化を理解し柔軟に受け入れる能力など、グローバル化に対応できる国際性を、県職員に求められる基本的な能力の一つとして位置づけ、意欲ある職員の海外派遣を行っているほか、職員の海外での調査研究等を支援する職員海外研修支援事業を実施するなど、取り組みを進めております。海外経験のある職員については、その語学力やネットワークを最大限生かせるような人事配置に配慮することはもちろんですが、一定のジョブローテーションも行いながら、その国際感覚や異文化体験という財産を政策形成に反映させることができるよう、効果的な人材育成を行ってまいります。 また、国際協力事業の受託についてでありますが、本県では、脳血管研究センターや高度技術研究所を初めとする公設試験研究機関や国際資源大学校、秋田大学や県立大学などの高等教育機関において、多くの研修員等を受け入れており、平成十六年は七十九名に達しております。こうした研修員等の受け入れは、国際協力の一環として行っているものでありますが、受け入れた研究員との共同研究が、県産果実を使用しての蒸留酒の開発研究につながった例に見られるような成果も期待できますし、受け入れた人材は、外国において秋田のPRを行う情報発信源ともなります。そのため、県としても、これまでの協力実績やノウハウを検証し、相手方のニーズと本県のシーズを上手に組み合わせながら、研修員等の受け入れ促進に努めてまいりたいと考えております。 また、事業実施に当たっては、国際協力機構や国際協力銀行等、国関係機関との緊密な連携を図り、これらの機関が提供する草の根国際協力事業や円借款事業などの制度資金の積極的な活用も図りながら事業を展開してまいりたいと考えております。 また、県立大学のあり方についてでありますが、秋田県立大学は、次代を担う人材の育成や産業の発展に寄与することなどを使命として設立されており、地域の将来を担う技術者の育成や、企業との連携による地域産業の活性化は、県立大学が果たすべき最も重要な役割と考えております。 このため県立大学では、学部学生が卒業後に技術士を取得できるような実践的な教育を行えるよう、外部機関の評価・認定を受ける準備を進めているほか、インターンシップを正規の授業科目として加えるなど、社会のニーズに即した人材の養成に努めております。 また、産学官連携によって県内産業の活性化を図るため、平成十五年十月に地域共同研究センターを設置し、地元企業との共同研究や受託研究を積極的に進めており、平成十六年度は六十一件の受託研究や共同研究を実施しております。今後は、大学全入時代の到来により大学間競争がますます激しくなることが予想されますが、県立大学は、公立大学法人化を契機として、実践教育を目指したアグリビジネス学科を設置するなど、魅力あふれるオンリーワンの大学を目指してまいります。 また、海外事務所の活用と委託駐在員制度の創設についてでありますが、中国を初めとする環日本海地域や東アジア地域が著しい経済成長を遂げている中で、本県経済の活性化のためには、こうした地域をターゲットにした経済交流の活発化や、本県への観光誘客を促進していくことが重要であると考えております。 このため、海外との交流を推進する拠点として、シンガポールとソウルに、北海道・北東北三県合同で海外事務所を設置しているほか、大連には秋田県貿易促進協会による民間主導の事務所を開設したところでありますが、その機能を最大限発揮させるためには、事務所スタッフの高い実務能力が肝要であると考えております。こうした観点から、例えばシンガポール事務所においては、民間企業での海外勤務経験者や貿易業務に精通した北海道職員を配置しているほか、ビジネスや観光に精通し、高い語学力を有する現地職員を採用しております。また、大連事務所においては、より個別具体的な企業支援を実施するため、貿易実務にたけた現地コンサルタントに事務所運営を委託するなど、多様な形態により、必要な人材の確保に努めているところであります。 なお、海外拠点の活動をサポートしたり、経済交流等の支援機能を他の地域に広げていく場合において、現地の進出企業や県人会の活用、コンサルタントへの委託などとともに、御提案の委託駐在員制度なども効果的な方法と考えられますので、現地の実情に応じて検討してまいりたいと考えております。 次に、外国人が暮らしやすいまちづくり事業についてでありますが、本県の在住外国人は平成十六年十二月末現在で四千九百六人に達しております。ここ十年間で見れば約二倍の増加であり、外国人が安心して快適に暮らすことのできる社会環境の実現を目指して、さまざまな課題に取り組むことが必要と考えています。在住外国人支援に関しては、県内のボランティア、民間団体、国の関係機関、県及び秋田県国際交流協会がそれぞれの特色を生かし、役割を分担しながら連携して進めていくことが有効と考え、県では平成十六年度から、それぞれの支援機関の役割について見直しを行い、整理しております。生活支援一般及び日本語教室の運営については、基本的に住民福祉施策の一環として市町村が対応することとし、県では広域的、専門的な観点から市町村を側面的に支援していくこととしました。こうした考え方により、県では、在住外国人固有のさまざまな問題に対して市町村等に助言・提言していただくことを目的に、地域で先進的な取り組みをしているボランティアを活用した地域国際化アドバイザー配置事業をスタートさせております。さらに、市町村単独では解決困難な専門的相談に対応するため巡回相談会を実施し、市町村事業を支援しています。在住外国人の抱える問題は、年々複雑化、専門化してきておりますので、在住外国人の支援事業に関しては、今後とも関係機関が十分に連携をとりながら、効果的な事業運営ができるよう努めてまいります。 次に、韓国国際定期便利用促進事業についてでありますが、仁川空港はハブ機能を有する空港であり、その機能を活用した乗り継ぎ便の利用促進については、これまでも旅行商品づくりの支援などを通して、その対策をとってきておりますが、なかなか伸びていないのが実態であります。特に、現状の週三便体制では、当日乗り継ぎの可能な路線がバンコク、ハノイやロサンゼルスなど、十三カ国二十都市に限定されており、まだその機能が十分に発揮できておりません。今後は、運航ダイヤなどのさらなる利便性の向上に努める必要がありますが、そのためには、まず当面の利用促進が重要であります。新年度は、利用者が増加傾向にある韓国からの誘客や各種交流を一層推進するとともに、乗り継ぎ便のPR活動にも努めてまいります。 次に、港湾の整備、利用についてでありますが、まず利用促進重点港湾への分類については、国では、重要港湾への投資の効率化を図るため、全国百五港について、取扱貨物量や利用船舶隻数、船舶係留時間及び岸壁延長からその利用状況を分析し、総合評価値五十以上を高度利用推進港湾に、五十未満を利用促進重点港湾に分類したものであります。その結果、秋田港は総合評価値四八・五、総合六十八位で、船川港、能代港の県内重要港湾とともに利用促進重点港湾に区分されております。本県としては、東北地方の港湾バランスに配慮されていないことや、特に秋田港においては国際コンテナ貨物が好調に推移している点が反映されていないことから、今回の分類に納得しているものではありません。今後は、官民一体で利用促進に全力で取り組み、平成十九年度の見直しで高度利用推進港湾となるよう努力してまいります。 また、地域間連携、役割分担についてでありますが、秋田港の取扱貨物量は、平成十五年には過去最高を記録しており、特に国際コンテナ貨物は東北地方において、仙台塩釜港に次ぐ実績となっております。これは、民間が主体となって秋田県内のみならず北東北三県まで貿易促進のためのポートセールスを行った結果であります。このような成果を踏まえながら、今後、北東北における重要港湾の機能分担や連携などについても検討を行い、秋田港の利用促進に努めてまいります。 二点目の人口減少社会への対応についてでありますが、初めに、子育てにかかわる経済的支援策の見直しについては、まず、乳児の養育に対する支援についてでありますが、ゼロ歳児を対象とする支援制度は、共働き家庭のみならず、家庭で子育てする世帯をも対象とし、乳児期の養育コストの負担軽減を図るとともに、できるだけ赤ちゃんと触れ合う時間を確保していただきたいとの考えによるものであります。こども未来財団の調査によりますと、ゼロ歳児の基本的な養育コストは月額約二万円であり、支援金は、この半額に相当する月額一万円にしたいと考えております。この支援金により、生活基盤の弱い若い世帯を初め多くの家庭において子供の健やかな成長が図られるものと考えております。 また、県と市町村の関係、効果的な施策展開についてでありますが、このたび、子育てに係る経済的支援策を見直すこととしたのは、ここ四、五年、第三子以降の保育料無料化の効果に陰りが見え始めていることに加え、保育料の軽減や第一子・第二子への支援の拡充といった、県民からの強い要望を踏まえたものであり、より効果的、タイムリーな施策であると考えております。 見直しに当たっての市町村との連携については、見直しの方向性を提示した九月以降、節目節目において、市町村に対する説明会の開催や意向調査を実施するとともに、町村会との意見交換を行い、十分に理解を求めてきたところであります。 また、新たな支援策は、すべての市町村に共通し、県政の最重要課題となっている少子化問題に対応するため、そのねらいや効果を明確にした上で実施するものであることから、交付金的な仕組みにすることは、事業の性格上、なじまないものと考えております。したがいまして、各地域の実情に応じた子育て支援対策については、財源も含め、市町村みずからの創意工夫により取り組むことが基本であると考えます。県では、今後とも、全県的に取り組んでいくべき課題を的確に把握するとともに、市町村と十分な意思疎通を図りながら、各種の施策・事業を積極的に実施してまいります。 次に、新行財政改革についてでありますが、まず、行政機構の現状認識については、近年、行政と民間との協働が進められている背景には、サービスを受ける側にとっては、民間サービスのほうが公的なサービスよりすぐれているものが多々あり、また、これまでは公的サービスしかなかった分野にNPOなどの民間が進出できる環境が整備されてきたことにあると思います。 確かに、行政の高コスト構造、公務員の高コストは否めない面があります。この原因としては、国、県、市町村を通じた行政事務の重複、事務量に比して多い職員数、補助事業に見られるような画一的な基準による国の過剰関与などが挙げられ、行政コストの縮減は重要な課題であると考えております。本県においては、これまでに行政改革大綱や第二期行政改革推進プログラムを通じ、人件費の抑制や庁費等の徹底した節減を行い、全国トップレベルの簡素な財政運営を確立してきたところであります。また、十七年度からスタートする新行財政改革推進プログラムでは、知事部局職員数の三千五百人体制を目指した定員適正化計画や事務事業のアウトソーシング、公共事業における本県の実情に即した独自の設計仕様の拡充など、項目ごとに数値目標を設定し、一層の行政コストの縮減を進めるほか、規制緩和や市町村への権限移譲を進め、より厳しい状況に耐え得るスリムな行財政システムを構築することとしております。こうした取り組みの中で、仕事を再点検し、むだを廃し、民間ができるものは民間に任せることにより、結果としては、県は、高度で専門的な分野や広域的な戦略プロジェクトなどを担っていくことになるものと考えております。このためには、職員の意識改革が重要であり、コスト意識の徹底はもとより、前例踏襲などの垣根意識からの脱却、新たな可能性を広げる前向きな発想の醸成などに徹底して取り組んでまいりたいと思います。 また、第三セクターの整理統合、合理化の推進についてでありますが、新行財政改革推進プログラムにおいて、現行の整理合理化指針の対象となっている二十七法人について今後の取り組み目標を見直しするとともに、新たに八法人について、県民ニーズや果たすべき役割を踏まえた法人のあり方を中心に、整理合理化を推進することとしております。従来から、指針の策定においては経営面の効率化を重視しておりますが、今回の見直し追加に当たって検討した視点の一つに、今後地域づくりの担い手として大きな役割を果たすことが期待されているボランティア団体やNPOとの協働、連携があります。こうした民間との協働を効果的に進めるため、民間の人材の積極的な活用を図るとともに、県の関与を縮小し、法人の自己決定、自己責任による経営を一層促進したいと考えております。   [教育長(小野寺清君)登壇] ◎教育長(小野寺清君) 淡路議員からの教育問題二点についてお答えいたします。 一点目の英語教育についてでありますが、県教育委員会では、平成十五年三月に秋田ドリームチャレンジプランを策定し、知・徳・体の推進を三つの柱に据え、子供たちの自由な発想や創造力、世界に羽ばたく気概をはぐくみ、子供たちの創造性を最大限に伸ばすことを目標として、さまざまな施策を講じてまいりました。国際化が進展する今日の世界では、特に英語が世界の共通語としての役割を果たしつつあり、実践的なコミュニケーション能力は、今やだれもが身につけたい資質の一つになっております。また、学校においては、国際社会の中で日本人としての自覚を持ち、主体的に生きていく上で必要な資質や能力を養うことが求められています。 そのため、幼児期から高等学校までの英語教育の行動計画を策定し、今年度高校教育課内に英語コミュニケーション推進班を設置いたしました。中学校、高等学校においては、コミュニケーションの手段としての実践的英語力、他と積極的にかかわろうとする態度、相手の立場を尊重しつつ、自分の考えや意思を表現できる能力を育成する指導に取り組んでおります。推進班は、授業改善により、これらの目標を達成できるよう、学校訪問による指導、助言や情報提供を行っております。さらに、高校生海外留学支援事業、アメリカや韓国への高校生海外派遣研修事業、海外の高等学校との姉妹校交流や海外修学旅行等を積極的に推進しております。 このようなさまざまな体験から学んだ大切なものとして、生徒は、郷土愛、家族や友人への感謝の気持ち、自力で困難を乗り越える力、日本人としての誇りを持つことを挙げております。以後の生活においても、より主体的に人生を生きようとする姿勢や将来への明確な目的意識を持つだけでなく、リーダーシップを発揮し、周囲の生徒へ好ましい影響を与えるなど、これまでにない成果が出てきております。 次に、幼児期からの英語教育の効果と弊害についてでありますが、英語習得を目的とした教育に関しては、早ければ早いほどよいとする賛成論や、母国語での感情表現や抽象的な思考ができなくなるという意見等、有識者の中でも意見が分かれるところであります。このようなことを踏まえ、幼児期においては、感性が豊かなうちに、遊びの中で自然に英語に親しませ、他国の言語や文化に興味を持たせることが大切だと考えます。 そこで、今年度、県内二十三の市町村において、週末に公民館などで、地域に住む外国人等を講師として、幼児や小学校低学年の子供たちが保護者と一緒に、外国の生活や文化、言語などに親しむ、地域で進める親子国際理解推進事業を実施してまいりました。そこでの異文化やコミュニケーションの体験は、親子の共通の話題や目標になり、他人との新しい関係を生み出す場になっており、参加者から好評を得ております。 二点目のIT教育についてでありますが、次代を担う子供たちが急激な情報化の進展する社会をたくましく生き抜いていかなければならないことは、疑う余地のないところであります。このことから、本県においては、「ITを適切に活用し、情報を収集・処理・発信・交流できる秋田の子どもの育成」を目標に掲げ、コンピューターが使える秋田の子供の育成に努めております。その際、最も大切なことは、常に豊かな人間性をはぐくんでいくという視点を見失わないことであると考えております。 コンピューターやインターネットの活用によって、子供たちがみずから主体的に解決すべき課題をつくり、情報を集め、加工して自分の考えを生き生きと表現する学習活動を充実させるとともに、体験活動と結びつけることにより学習に広がりが出てきております。 しかし、コンピューターやインターネットの活用には影の部分もあり、例えば、バーチャルな世界に没頭した若者が幼い子供の命を奪ったりするなど、大きな社会問題を引き起こす一因にもなっております。このようなことから、情報モラル指導の徹底を図るため、昨年六月、各学校に指導資料を配布し、子供自身が誘惑に負けることなく、みずから判断し行動できるよう指導しております。 また、県教育委員会では、情報活用能力の向上を図るため、平成十三年度から情報学習支援事業を実施してまいりました。各学校に派遣している非常勤職員の的確なアドバイスにより、九四%の小学校で、六年生の八割以上がコンピューターで簡単な文書を作成できるようになっております。 さらに、県内七校で先進的に取り組んでいるインターネットTV授業推進事業では、指導主事がリアルタイムに子供たちに指導する全く新しい学習システムによる授業を進めておりますが、学習意欲が高まり、積極的に情報を発信できる子供が育成されてきております。 今後とも、コンピューターやインターネットの操作技能を習得させるだけではなく、情報を主体的に選択し活用できる能力や情報社会に参画する態度などを育成するよう各学校を指導してまいります。 以上であります。 ○議長(鈴木洋一君) 一番淡路君の質問は終わりました。 以上で一般質問を終了いたします。 本日はこれにて散会いたします。 △午後三時二十一分散会 ---------------------------------------...